当院での医師の働き方改革への取り組み

黒澤 和子

長野県当院での医師の働き方改革への取り組み

伊那中央病院 産婦人科
黒澤 和子

働き方改革という言葉を耳にするようになってから、何をしたらよいか分からず、不安が募っていたのですが、いざ蓋をあけてみると、改革前と勤務体制はかわらず、問題なく診療を行うことができています。

これについては、以前から様々な動きがあったことが要因と考えています。

まず、長野県では2007年頃より信州大学産婦人科医局から、関連病院への働きかけが積極的に行われました。その一つとして産婦人科医師の集約化が行われました(図1)。

図1

この頃、当院のある上伊那地区では、3つの総合病院で分娩を取り扱っていましたが、2008年より2つの病院で分娩取り扱いを停止し、これにより当科は常勤医師が2人から徐々に増え、5人となりました。

このような変化に引き続き、当院産婦人科内では助産師による積極的な動きがありました。助産師外来の開設や、検査技師、放射線技師による妊婦健診の超音波検査が開始されました。信州大学を中心とした院内助産開設への動きもありました(図2)。

図2

そして、病院全体としても、産婦人科に限らず医師事務を増員し、いくつかの業務を医師事務へタスクシフトしていきました(図3)。

図3

病院内の各委員会などの会議、患者家族への病状説明を勤務時間内に、という動きもあり、徐々に時間外勤務を減らす工夫がなされました。

当院の分娩数、手術件数、医師数の推移を見てみます。分娩数は減少傾向にあり、手術件数に大きな変化はありません。医師数は少しずつ変化があります。産休、育休の医師数の変化により宅直可能医師数が変化しています。分娩を取り扱う新規診療所開業後、分娩数が減ったことがみてとれます(図4)。

図4

産婦人科医師の集約化、助産師の業務拡大、医師事務へのタスクシフト、病院全体の改革に加え、分娩取り扱いを行う医療機関の開業などが、十数年の間に行われ、働き方改革への適応につながったと考えられます。

2007年頃から、医師の負担軽減への働きかけが様々な形で行われ、働き方改革に向けて、慌てて準備することなく移行できたと考えます。

今後は時間短縮勤務が必要な医師と、フルタイムで勤務できる医師との間に不公平感が生じにくくなるような工夫も検討していくことが必要と考えています(図5)。

図5

事例紹介