山梨大学産婦人科医局の働き方改革への取り組み

奥田 靖彦

山梨県山梨大学産婦人科医局の働き方改革への取り組み

山梨大学医学部生殖医療学周産期医療学講座
奥田 靖彦

山梨大学産婦人科医局では、2024年4月より本格的に始まった働き方改革に対していくつかの取り組みを行ってきた。

これまでは全医局員は裁量労働制であり、2人以上の当直体制をとっていた。その当直を行った医師は翌日も通常業務で、連続32時間以上の勤務となっていた。そこで、教授を含む2人以外の16人は変形労働制とし、2人の当直ではあるものの、1人を夜勤、1人は宿日直として夜勤者は翌日の午前のみの勤務とすることで対応することとした(図1)。

図1

この段階で上級医も夜勤を行うこととし対応可能となるために、1年前から上級医も2人当直のファーストコールとして勤務するようなシステムを導入している。

続いて、周産期病棟では主に担当医制を用いていて、基本的には担当医が緊急帝王切開等の事態にも24時間365日対応することが暗黙の了解として求められていた。これは担当患者の妊娠期間から分娩および産褥までを経験することにより、医師としての経験や技量の取得、担当患者からの信頼感といった面からは優れているかもしれないが、時間外労働は長時間となり、いつ病院から呼び出されるかわからないといったストレス等が問題となる。働き方改革からは推奨されないシステムと考え、基本的には担当医グループにより対応することとし、担当医の主な業務は治療方針の決定とし、時間外の対応はグループ医師の誰でも可能とし、場合によっては夜勤医に任せることを明文化した。

また、山梨大学では男性職員に対する育児休暇である「パパ育休制度」があり、医局では積極的に推奨している。具体的には2023年10月以降、3名の男性医師がお子さんを授かっているが、3名全員がパパ育休制度を活用し、生後1か月は育休を取得している(図2)。

図2

さらには、大学病院の性格上、学生や研修医の教育、リクルートの観点から時間外のセミナーやシミュレーション教育が必須となっている(図3)。

図3

このイベントは多数の医局員を動員せざるを得ないが、このイベントを勤務としてしまうと、翌日の業務に就けない可能性があること、時間外同労時間が長時間となってしまうこととなる。そこで、苦肉の策としてこの時間外労働は「自己研鑽」として認定し、ボランティアとならないように産科医確保の目的に山梨県から支弁される予算から参加した医師への出張費に充てることとしている。

しかし、上記のごとくシステム変更で対応しているものの、いわゆる「雰囲気」を察して、夜勤明けに帰宅しづらい、担当患者の分娩に対応せざるを得ない、男性医師の育児休暇を取得しづらい、といった状況になりかねない。そこで、当医局の理念を3本柱として医局のドアに看板を作成した(図4)。

図4

その中の1番目の柱は「心理的安全性の保障!」を掲げている。何事も言いたいことが言える医局にすることを第一目標とし、上記の「雰囲気」に流されないようにすることを目標とした。それでも、自分の意見が言えないような状況に対応すべく、医局内に「ハラスメント委員会」を立ち上げ、直接苦情を言えない場合に備えてGoogleフォームによる「目安箱」を設置した。

まだまだ道半ばではあるが、各医局員の意見を広く汲みつつ「働きやすい医局」を目指していきたい。

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