医師の働き方改革:神奈川県における新制度施行後9か月での勤務医向けアンケート結果より

村瀬 真理子

神奈川県医師の働き方改革:神奈川県における新制度施行後9か月での勤務医向けアンケート結果より

横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター
村瀬 真理子

神奈川県産科婦人科医会勤務医部では2024年12月から2025年1月に、県内の管理職を除く勤務医を対象に、働き方改革新制度施行後の問題点抽出を目的にアンケート調査を行った。本調査はGoogleフォームを用いて実施し、働き方改革関連13項目について回答を依頼し、103名から回答を得た。結果につき、いくつかを抜粋して紹介する。

収入の変化については、図1に示すように減少、増加とも16%で今回の調査では心配された大きな減収はないようだった。

図1

労働時間についても同様の傾向が見られた(図2)。

図2

〈働き方改革が始まって以降若手医師の技術獲得速度が遅くなった、あるいは症例を経験する機会が少なくなったと感じますか〉の質問に対しては約40%の医師が、若手医師の経験値について少なくなったと回答した。年齢による意識の違いが明らかであり、20代から50代にかけて年齢が上がるにつれて、若手の経験不足を感じる割合が上がっていた(図3)。

図3

当事者である20〜30歳代の若手年齢層では経験不足を感じる割合は40歳代以上に比べ少ない。以前に比べシミュレータや動画など、実際の経験を経なくても手技を獲得する方法は増えてきていることもあり、今後注視していく必要がある。

〈ご自身が勤務している病院では医師の労働効率を上げ、働き方改革をうまく推進させるような病院あるいは部署での取り組み(クラークの増員・医師事務補助職など導入し積極的にタスクシフトを行う、カンファレンスの時間を調整するなど)をしていると思いますか〉〈2024年4月働き方改革以降、総合的に考えて働きやすくなっていますか〉の問いに対しては20%程度の新制度に肯定的な回答がえられた一方で、自施設での働き方改革の取り組みが全くない20%、働き方改革で働きにくくなった30%(図4、5)と施設により対応が異なる可能性がうかがわれた。

図4
図5

〈実際は時間外労働であるが、時間外の上限を守るため自己研鑽として申請したことがある。上司からの指示での学術活動などを自己研鑽とした、など〉の問いに対しては半数以上の54%がはい、と答えた。また〈困っていること〉の自由記載欄では上司との時間外労働、自己研鑽の認識の違いが挙げられており、自己研鑽か労働かの区別は立場によっても異なり、非常に難しい面があると考えられた。

なお、本アンケート結果の詳細は神奈川産科婦人科学会誌62巻2号掲載を予定している。

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