働き方改革とDX

小關 剛

茨城県働き方改革とDX

筑波記念病院
小關 剛

はじめに、当院は茨城県つくば市に位置し、487床を有する急性期医療中心のケアミックス病院です。地域の医療需要に応じた体制整備に取り組む中、医師をはじめとした医療従事者の働き方改革は喫緊の課題として位置づけられています。本稿では、当院が推進してきた改革の実践内容とその成果をご紹介します。

従来はICカードによる勤怠管理を導入していましたが、医師の打刻率は約7割にとどまり、勤務実態の適正把握に課題がありました。そこで2024年度よりビーコン方式へ切り替えたところ、検知率は9割を超え、勤務時間に対する意識が大きく改善しました。結果として、医局全体の超過勤務時間が着実に減少するなど、働き方改革の重要な第一歩となりました。

病棟では、これまで一般的であった主治医制からチーム制へ移行しました。複数の医師が患者情報を共有することで、主治医不在時でも診療相談が可能となり、医師の負担軽減とメディカルスタッフとの連携強化につながっています。また日当直業務においては、当直帯に入院した患者の主治医を翌朝ディレクターが速やかに振り分ける仕組みを導入し、当直明け医師が迅速に業務から離脱できる環境を整備しました。この取り組みは、疲労軽減だけでなく診療の質向上にも寄与しています(図1)。

図1

医師の負担軽減には、メディカルスタッフへの適切なタスクシフトが不可欠です。当院では段階的に体制整備を進めています。看護部門では、ナースプラクティショナーを心臓血管外科チームに配置し、周術期管理や手術立ち会いなど専門性の高い業務を担っています。また「コーディネーター」を新設し、事務的業務から術前・術後フォローまで幅広く担当。特定行為看護師や認定看護師の育成にも法人全体で取り組んでいます(図2)。

図2

各専門部門での業務分担においては、ER部門では病院救急救命士の積極採用により看護師業務の一部を代替、放射線部門では造影検査時のライン確保を診療放射線技師が担当、外来部門では採血業務を臨床検査技師が一括して実施など看護師の業務負担軽減に努めています(図3)。

図3

当院では医療DXについても積極的に取り組み、トライアンドエラーを繰り返し現場に適したシステム導入を進めています。診療の隙間時間に確認業務が行えるようになり業務効率が向上したほか、メディカルスタッフが医師へ逐一確認する必要が減り、現場全体の心理的安全性向上にもつながっています。現場からのフィードバックを反映しながら運用改善を継続しており、DXと働き方改革を一体的に推進しています(図4)。

図4

働き方改革は単一の施策で完結するものではなく、勤怠管理の精度向上、業務分担の最適化、DX推進など複数施策を並行して進めることで初めて実を結びます。当院では今後も現場の声に根ざした改革を継続してまいります。

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