宿日直の取り扱いについて

当直・日直と宿日直
申請・相談窓口について
おわりに

当直・日直と宿日直

医師が夜間・休日に担当として在院する、いわゆる当直や日直の取り扱いは宿日直許可の有無で大きく変わります。

宿日直許可がある場合 →夜間・休日に日当直として在院していても労働時間として扱わず、時間外労働時間や休憩時間の規定から除外され翌日の勤務も通常通り可能
宿日直許可を得ていない場合→日当直の時間が全て時間外労働として捉えられ割増賃金を支払う必要がある。

宿日直については、令和元年に労働基準局より発表された「医師、看護師等の宿日直許可基準について」において以下の許可基準が明記されています。

  • ・通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること
  • ・一般の宿直業務以外に、病院の定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、
    検温など、特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務に限ること
  • ・夜間に十分睡眠がとりうること

また、宿日直許可を得ている場合でも、通常の勤務時間と同様態の労働に従事することが常態となった場合には、時間外労働の手続きを行い、割増賃金を支払うことが定められています。

宿日直として当直を行う場合その在院時間は労働時間に当たらないため、今回の時間外労働時間の上限規制とは無関係に当直を行えることになってしまいます。宿日直許可を得ることは地域における医療体制維持のために有効ですが医師の在院時間の増加に直結するため、宿日直の許可については現在も慎重な議論が重ねられています。
厚生労働省の運営する「いきいき働く医療機関サポートWeb」では、実際の宿日直許可・不許可事例の実例や申請前チェックリストが公開されています。
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/pdf/outline/pdf/20210720_02.pdf 

申請・相談窓口について

申請にあたっては、所轄の都道府県労働局、労働基準監督署へご相談ください。→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html

また、申請をするかどうか迷った場合など、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターに相談することができます。なお、医療勤務環境改善支援センターへの相談は、あくまでも支援のために使用され取締り目的で使用されませんので、安心してご相談いただけます。
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/work-improvement-support-center

さらに、2022年4月には厚生労働省に宿日直許可申請に関する相談窓口が設置されました。前述の2施設に加えて相談できる窓口として活用してください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24880.html

おわりに

2024年以前であっても時間外労働として給与の支払われない日当直を行うためには宿日直許可が必要です。また、今後時間外労働の削減を進めるにあたっても自施設や外部病院の宿日直許可の有無によって目標設定が大きく変わります。

宿日直許可申請を行うか否かを優先的に検討し、申請を行う場合は上記の窓口に早めに相談しましょう。また、宿日直許可を得ない場合には日当直の取り扱いが適切に行われているかを確認しましょう。