(6)原発性無月経の骨代謝について

・ 思春期における卵巣機能の正常な発達は,エストロゲンを介して骨形成とその維持に大きな役割を果たし,最大骨量獲得に寄与する.骨量の80%は遺伝的な因子で決まるが,20%はホルモン環境,栄養摂取状況,活動レベルによって決定される.原発性無月経によるエストロゲンの低下は,最大骨量を獲得できないまま骨量低下をもたらし,将来の骨粗鬆症の危険性や骨折頻度を高める可能性がある.
・ 原因疾患として視床下部・下垂体の障害,卵巣の障害のいずれも骨量低下を来すが,代表的疾患としてターナー症候群や小児がん治療後の早発卵巣不全が挙げられる.このような疾患では女性ホルモン補充療法を継続して行うことが骨量の維持に重要である.活性型ビタミンD,ビタミンK などを併用するが,ビスホスホネートの投与には慎重であるべきである.一方,運動や十分なカルシウム摂取など生活面での指導を実施すべきである.そして,適切な間隔で骨密度測定を受けることが推奨される.