(2)小児がん治療における妊孕性への影響(表31,ASCO2013)

・ 一部のがん治療は妊孕能に影響を及ぼし,一方不妊や性ホルモンの分泌低下,早期閉経の発来なども惹起する場合がある.
・ 小児は,白血病,脳腫瘍,リンパ腫などのがん罹患率が高い.現在がん医療の進歩によって生存率が上昇しつつあり,特に白血病は,化学療法や造血幹細胞移植により70~80%の長期生存率が得られるようになってきた.
・ 造血幹細胞移植は,前処置として高用量のアルキル化剤による化学療法や全身放射線照射が施行されることから,ASCO のガイドラインではHigh リスク(卵巣毒性)に分類されている.
・ シクロホスファミドに代表されるアルキル化剤は卵巣毒性が強く,造血幹細胞移植を受けた患者の83%に妊孕性喪失が認められたとする報告がある.
・ 同じアルキル化剤の抗がん薬であっても,その種類によって卵巣毒性のリスクが異なる.
・ 骨盤臓器や卵巣に対する手術は,術後の癒着や卵胞数の減少によって,不妊を惹起する可能性がある.
・ 卵巣毒性を有する抗がん薬は,卵胞とその周囲結合組織や血管にダメージを与え,卵胞数が減少し卵巣内の血管障害や間質の線維化亢進が生じる結果,がんサバイバーは稀発月経や無月経などの卵巣機能不全を生じる.
・ 放射線療法も照射量に応じて卵胞数を減少させる.放射線照射による影響は,直接照射される放射線被曝のみではなく,散乱した放射線被曝の影響も考慮する必要がある.