34 .破水例の帝王切開・分娩後子宮内膜炎予防は?
ポイント
- 陣痛中や破水例における帝王切開術前の腟洗浄は有効である.
- 術前の腹部の皮膚消毒には,クロルヘキシジン+アルコール製剤が最も有効である.
- 子宮内感染が疑われる際は,癒着防止剤の使用を控える.
破水後の帝王切開において,分娩後の子宮内膜炎予防を目的とした処置を表7にまとめた.

(1)術前の腟洗浄は有効か?1, 2)
陣痛中や破水例に対するクロルヘキシジンによる腟洗浄は,SSIや子宮内膜炎のリスクを低減する.ポビドンヨードも代替可能であるが,クロルヘキシジンの方がより効果的である.
(2)腹部の皮膚消毒にポビドンヨードは使用すべきか?1, 2)
クロルヘキシジン+アルコール製剤が,最もエビデンスに基づいた皮膚消毒薬の選択肢である.ただし,可燃性であることに加え,殺菌効果を得るためにも使用に際しては3分以上乾燥させる必要がある.緊急手術などで乾燥時間が確保できない状況では,ポビドンヨードなどの非アルコール性製剤が代替手段となり得る.
(3)腹腔内洗浄は有効か?1, 3)
通常の帝王切開では,腹壁を閉じる前の腹腔内洗浄は不要である.腹腔内洗浄は感染症罹患率を減少させず,術中悪心・嘔吐および術後悪心の頻度を増加させる.ただし,破水後症例に関するデータは不足している.胎便汚染や腸管損傷時には有益である可能性がある.
(4)癒着防止材は使用してもよいか?1, 3)
現時点の報告では,帝王切開における癒着防止材の常用を積極的に支持する十分なエビデンスは存在しない.癒着予防効果を期待して使用することは選択肢の1つではあるが,感染創への使用は禁忌とされているため,子宮内感染が疑われる症例では使用を控えるべきである.
(5)皮下ドレーンは必要か?1, 3)
日常的な皮下ドレーンは不要である.ドレーンの使用は創部合併症の発生率を低下させない.肥満患者でも同様に不要である.ただし,破水後症例に関するデータは不足している.
参考文献
- 1)Uotodate. Cesarean birth: Surgical technique(https://www.uptodate.com/contents/cesarean-birth-surgical technique)(最終アクセス日 2025年9月1日)
- 2)Caughey AB, et al. Guidelines for intraoperative care in cesarean delivery: Enhanced Recovery After Surgery Society recommendations(part 2)-2025 update. Am J Obstet Gynecol. 233(6S): S170-S183, 2025
- 3)Mackeen AD, et al. Evidence-based cesarean delivery: intraoperative management following placental delivery until skin closure(part 9). Am J Obstet Gynecol MFM. 7(1): 101548, 2025