3.在宅診療体制

・ がん患者が通院困難になった場合,居宅にいても医療が受けられるように,医師などが訪問する在宅診療体制が整備されつつある.
・ 具体的には,処方,点滴,在宅酸素,高カロリー輸液の管理,腹水穿刺,緩和医療などの入院加療に準じた多くのことが可能である.
・ 生活面では介護・福祉サービスが充実し連携が強化されることにより,居宅における加療の継続だけでなく,さらには終末期を迎えられるようになった.
・ 在宅診療を行う施設は,一般の診療所・病院の他,それに特化した在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院がある.

(1)在宅療養支援診療所・病院とは

1.24 時間連絡を受ける医師または看護師が配置され,患家に提示されている.
2.24 時間にわたり往診が可能な体制がある.
3.24 時間にわたり訪問看護が可能な体制がある.
4.他の医療機関との連携によって病床を確保し,在宅の患者の緊急入院に対応できる.
5.地域の介護・福祉サービスと連携している.

(2)機能強化型在宅療養支援診療所・病院とは(2018 年改訂)

・ 在宅医療を担当する常勤医師が 3 名以上配置されている.
・ 過去 1 年間の緊急往診の実績が 10 件以上ある.
・ 過去 1 年間の在宅看取りの実績が 4 件以上ある.
・ 全国の在宅療養支援診療所は合計 13,412 件で概ね横ばい,在宅療養支援病院は 1,223 件で,増加傾向である( 2017 年).

(3)在宅医療を支える社会資源(図45)

・ 訪問看護ステーション
・ 訪問歯科診療所
・ 薬局
・ 介護関係事業所(居宅介護支援事業所・訪問介護事業所・地域包括支援センター)
・ 生活地域の組織(ボランティア・民生委員など)
・ 行政機関(在宅医療に関する相談窓口)

(4)在宅診療への導入までの道筋

・ 実際の導入は,主治医が患者・家族に在宅診療の説明をし,同意を得た上で,医療連携コーディネーターに依頼するところから始まる.医療連携コーディネーターとは,在宅医を含む地域の医療を支えるスタッフ・患者家族・病院との調整役であり,MSW や看護師がその役割を果たしている場合が多い.導入前には,在宅診療体制を整える目的でカンファレンスが開催される.