2.刑事事件(図5)(付録用語解説参照)

 これに対し,刑事事件は,国家刑罰権の発動として行われる.犯罪が発生したとの捜査の端緒を得た警察が捜査を開始し,被疑者に逃亡また証拠隠滅のおそれがある場合は逮捕し,ない場合は在宅で事情聴取を行う.警察は,証拠収集・司法解剖などを行い,事件を検察庁に送る(検察官送致)

 検察官は,逮捕された者について逃亡・証拠隠滅のおそれがあれば勾留し,なければ釈放して在宅のまま捜査を行う.収集した証拠から犯罪が成立すると判断すれば, 原則として起訴をする.犯罪は成立するが諸般の事情から起訴するまでもないという場合には不起訴処分(起訴猶予)にすることもある.起訴する場合は,公判請求(正式裁判)と略式起訴(罰金)がある.

 裁判所は,検察官・弁護人から提出された証拠を検討し,双方の主張を聞いた上で犯罪の成否および量刑を決める.

 民事事件と刑事事件の違いの概要を図6に示す.