2.事業継続計画書(BCP)

 BCPとは災害などの緊急事態が発生した時に,損害を最小限に抑え,事業の継続や復旧を図るための計画である.特に,被災時に事業を停止することが許される一般の企業とは異なり,医療機関は被災時にも分娩に代表される医療サービスの継続,時には平時以上の対応が求められる.医療機関におけるBCPの目的は,災害対策マニュアルとは目的が異なるものだが,被災時に診療を継続あるいは早期再開できる体制を構築することで,連続的なマニュアルとして纏めるのが現実的と思われる.多くの医療機関がweb上で公開しているので参考にされたい.

 BCP策定にあたっては,まず想定される災害の種類を列挙し,院内リソース(例: 建築物の構造,非常用電源,医療ガス,上水,給食など)の状況と被害時の対応方法(例:非常用設備の取り扱い方,故障時の連絡先など)を把握しておく.

業務を被災中・後も継続すべきものと一時停止可能なものに分類し,前者は継続を可能にするための方策(例:非常用電源,上水の備蓄など),後者については業務再開に必要な人員や物品のリストアップと,業務停止中に業務を委託できる施設の有無,および委託の方策を想定し,日頃から地域でのネットワークを構築しておく.

 さらに医療機関が置かれた環境によっては,災害によって新たに生じる業務(例:被災した妊産褥婦への避難所斡旋,ミルクの提供など)を期待される場合がある.