(2)産科異常出血に関連した新旧用語について

 分娩後異常出血は,英語の postpartum hemorrhage の和訳である.従来「後出血」, 「分娩後出血」が使用されてきたが,『産科婦人科用語集・用語解説集改訂第 4 版』 (以下用語集第 4 版)では,分娩後異常出血に統一された.英語の異常出血についてはabnormal bleeding と hemorrhage の 2 種類があるが,Williams Obstetrics 24th edition では圧倒的高頻度で hemorrhage を使用しており,単に出血と和訳するよりも異常出 血と訳した方が適切と判断されたためである.なお,産婦人科診療ガイドライン産科 編 2014,2017 年では,postpartum hemorrhage を「産後の過多出血」と翻訳されて いたが,今後は使用されないことになった.

 産科異常出血,分娩前異常出血は,用語集第 4 版から採用された新規用語である. 各々,英語の obstetrical hemorrhage と antepartum hemorrhage に該当する.後期分娩後異常出血を従来「産褥晩期出血」,「晩期出血」と翻訳されていたが,各々旧語 として使用されないことになった.

文献
日本産科婦人科学会編.産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第 4 版.東京,金原出版.2018 年.