(3)アナフィラキシーの対応

  • アナフィラキシーはあらゆる薬剤で発症の可能性があり,複数回,安全に使用できた薬剤でも発症する.診断基準を図15に示す.

図15.アナフィラキシーの定義と診断基準

  • 造影剤,抗菌薬,筋弛緩薬などのアナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤を静脈内投与する時は,少なくとも薬剤投与より5分間は注意深く患者を観察する.
  • 薬剤投与後に皮膚症状に限らず患者の容態が変化した場合はアナフィラキシーを疑う.直ちに投与を中止して助けを呼び,バイタルサインを測定しつつアドレナリンを準備する.気道/呼吸/循環を評価し,気道確保,高濃度酸素投与,大量輸液を行う.アナフィラキシーを疑った場合はためらわずにアドレナリン0.5㎎を大腿前外側部に筋肉注射する.妊娠中期以降の場合は子宮左方転移もしくは左側を下にして半仰臥位にする.
  • 施設の準備として,アナフィラキシー発症の危険性が高い薬剤を使用する場所には,アドレナリンを配置し,速やかに筋肉内注射できるように指示・連絡体制を整備する.
  • 薬剤アレルギー情報を多職種間で共有できるようなシステムの構築,運用に努める.