本書のテーマである子宮内膜症・子宮腺筋症は,産婦人科医にとって,日々遭遇する疾患である.子宮内膜症は,月経困難症のみならず,不妊の原因にもなり,妊娠しても産科合併症などのトラブルも多い.さらに,癌化する恐れのある疾患であり,婦人科,生殖,産科,女性医学すべての領域においてケアしなければならない.また,子宮腺筋症も子宮内腔から発生するタイプと,子宮内膜症から子宮漿膜を介して筋層に入り込むタイプがあり,病巣部位により発生病理や臨床症状が異なることが分かってきた.治療も,内分泌学的な保存的治療から外科的治療まで多岐にわたり,すべての産婦人科医がかかわる疾患といっても過言ではない.
 本書では,そのような観点から,我々産婦人科医が子宮内膜症・子宮腺筋症をどう考え,どう治療すべきかをエキスパートである著者の先生方に最新情報を解説いただいた.若手の先生諸君の子宮内膜症や子宮腺筋症とそれに関連する疾患の管理に関する参考書となるだけでなく,アップデートされた子宮内膜症の病態や治療法について解説されており,多くの産婦人科医に役立つ書となると考える.
 貴重な時間を割いて執筆にあたっていただいた諸先生方には深甚なる謝意を表したい.また,執筆・校正・編集などにご尽力いただいた研修委員会の先生方,医会役員の諸君に深く感謝する次第である.

平成31年1月 会長 木下勝之