答申トップ メンバー  OA化 広域network 日母ネット 光カード 地域周産期医療

 

【地域周産期医療支援システムの利用】

 

 現在、総合周産期センターを中心とした周産期医療の地域化が推進されているが、これは国が資金援助する総合周産期センターに必要な設備ならびにマンパワーの条件を規定しているにすぎない。そこで、高知県では高知医大、日母、医師会が協力して、高知医大が地域三次救急施設となり、11ヶ所の一次分娩取り扱い施設を電話回線により病診連携システム(APDS:asociation of perinatal decisionsupport in Kochi)をすでに確立し、3年前より運用している。 本年度は行政の協力のもとに、周産期医療協議会でこのAPDSが高知県内の母体搬送を円滑に行うシステムとして認知され、一次施設において端末を購入の際には50%の資金援助が高知県から給付されることが決定した。

 さらにこのAPDSに二次医療施設を加え、地域周産期情報交換支援ネットワークシステムの改善も試みた。高知医大周産母子センター内に専用の3本の一般電話回線を有する地域支援用サーバーを2台、データ解析ならびに蓄積用サーバーを2台、専用電話回線を有するリモートメインテナンス用パソコンを1台、モバイルパソコン1台を、一次施設と二次施設にはモデム内蔵のノートパソコンを配備した。

 通信ならびに解析ソフトはwindowsNTで新規作成し、地域診療施設のノートパソコンには従来のCTG解析ソフト・通信ソフトに加え産科診療支援ソフトミニッツ97も搭載した。

 これにより以下のことが可能となった。

1.地域内の分娩取り扱い一次施設の62%にあたる13施設、全二次施設5施設がネットワークで結ばれた。

2.一次施設での周産期情報(リスク情報、CTG)を解析、図化した情報を三次施設だけではなく、二次施設あるいは三次施設の専門医が施設外からでもプライバシーを保全し短時間で参照し、診療支援できた。これに伴い以前のシステムでは一次施設では文字情報の参照のみが可能であったが、三次施設と同様のグラフィック化したカラー表示で参照できるようになった。

3.複数のサーバーと リモートメインテナンスシステムにより、これまではシステムダウン時には長時間の支援中断を余儀なくされていたが、24時間稼働可能となった。

 上記のAPDSのシステム改善により、地域内の一次、二次、三次周産期医療施設が電話回線により連結され、迅速にしかも適切な時期における適切な施設への合理的な母体搬送が可能となった。

 現在は試験運用中であるが、高知県における運用の実績があがれば本システムは今後の我が国のあらゆる地域における周産期医療の地域化に不可欠なソフトとなることが期待される。


ページの一番上へ