(4)術後管理

 術後管理についてはそれぞれのガイドラインによって推奨されている 2, 5, 8).

 頸癌治療後の経過観察は再発のリスクに応じ治療終了後から2年までは3~6カ月ごと,その後5年までは6~12 カ月ごとの定期的なサーベイランスを行うことを推奨している.

 子宮頸癌再発は約 70%が2年以内,約 90%が5年以内に発見され,再発診断時には約 70%に症状があると報告されている.多く見られる症状は骨盤内や腰背部の痛み,下肢痛,性器出血や帯下増量,下肢浮腫などであるためこれらの症状に注意する.局所再発の約 70%が内診によって診断されており,腟鏡診,双手双合診,腟直腸診などの意義が大きい.

 体癌治療後の経過観察で推奨される間隔は治療終了から1~3年までは3~6カ月ごと,4~5年までは6~12 カ月ごとを提案し,丁寧な問診による症状の確認と,骨盤再発診断のための内診を推奨している.

 子宮体癌再発例の 75%以上が3年以内との報告が多い.再発の危険度は進行期,組織型,手術の完遂度により異なるため再発リスクを考慮した上で経過観察計画を検討する,とされている.子宮体癌の肺転移再発は5~23%と高頻度であり胸部 X 線検査は再発のスクリーニングに有用であるが,無症候性再発での胸部 X 線検査の有用性は明らかでない.
 卵巣癌治療後の経過観察で推奨される間隔は初回治療開始から
 1~2年目:1~3カ月ごと
 3~5年目:3~6カ月ごと
 6年目以降:1年ごと
を提案する.とされており,再発の 95%は4年以内に発生しほとんどの再発が8年以内に認められるので,間隔を空けながらも長期的な経過観察が必要としているが,定期的な経過観察により予後を改善できるかどうかは明らかではない.

文献

  • 1)日本産科婦人科学会 / 日本産婦人科医会編.産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編 2023.杏林舎.2023
  • 2)日本婦人科腫瘍学会編.子宮頸癌治療ガイドライン 2022 年版.金原出版.2022
  • 3)上坊敏子.子宮体癌の診断における内膜細胞診と組織診:利点と弱点.日臨細胞会誌.47:330-336,2008
  • 4)厚生労働省「がん予防重点教育およびがん検診実施のための指針」(https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/001179547.pdf)
  • 5)日本婦人科腫瘍学会編.子宮体がん治療ガイドライン 2023 年版.金原出版.2023
  • 6)日本女性医学学会編.女性医学ガイドブック更年期医療編 2019 度版.金原出版.2019
  • 7)小林浩.卵巣癌検診と腫瘍マーカー.日本医事新報 No.4286:62-65,2006
  • 8)日本婦人科腫瘍学会編.卵巣がん・卵管癌・腹膜癌治療ガイドライン 2020 年版.金原出版.2020