(4)臨床に役立つ知識
- 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC:Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome)は,BRCA1/2 遺伝子変異が関連し,変異をもつ人は乳がんの生涯リスクが最大で約 72%と報告されている 3).乳がんや卵巣がんの家族歴がある人は,HBOC のリスクを有する可能性があり,検診開始時期の早期化(25 歳以降),予防的手術(予防的乳房切除),ホルモン療法,健康的な生活習慣の採用などが勧められる.
- 乳房の健康意識を高め,乳がんの早期発見を促すことを目的として,① 自己検診の実践,② 年齢,遺伝的要因,生活習慣など乳がんのリスクファクターの理解,③ 定期的な乳がん検診の重要性を強調するなどの啓発を行う「ブレストアウェアネス(Breast Awareness)」活動が注目されている 4).
文献
- 1)国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html)(アクセス日:2024/11/02)
- 2)厚生労働省健康局.がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針.令和 3(2021)年 10 月 30 日一部改正(https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000991054.pdf)(アクセス日:2024/11/01)
- 3)Kuchenbaecker KB, et al. Risks of Breast, Ovarian, and Contralateral Breast Cancer for BRCA1 and BRCA2 Mutation Carriers JAMA. 317(23): 2402-2416, 2017
- 4)日本乳癌学会.乳癌診療ガイドライン2022年版(https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/)(アクセス日:2024/11/01)