(3)新生児蘇生の成功率を上げるポイント

  • 人工呼吸が成功すれば新生児仮死の 90%は蘇生できるため,分娩にかかわる医療スタッフは確実に習得する必要がある.人工呼吸の成功は,①心拍数の上昇,②加圧時の胸郭上昇,③呼気中の二酸化炭素検出から判断する.これらがいずれも確認できなければ,マスク密着と気道開通体位の確認,口腔内吸引と吸気圧の上昇,高度気道確保により手技の修正行う.
  • 気管挿管が成功すれば確実に気道が確保され,有効な人工呼吸を継続できる確率は上がる.しかし新生児科医がいない施設で,産婦人科医が新生児に対して素早く気管挿管を行うことは容易ではなく,食道挿管のリスクもある.声門上気道器具(SGA:Supraglottic Airway)の有効性と安全性が認識されており,すべての施設に常備して使用法に習熟しておくことが推奨されている(表6).人工呼吸を開始する際に,フェイスマスクの代わりに最初から SGA を使用する方法も提案されている 1)

表6.気管挿管と SGA の比較  気管挿管 SGA  手技の習得 難しい 容易  使用可能な職種 医師のみ 看護師・助産師も可  処置に要する時間 20~30 秒以上 5~10 秒  誤挿入 食道・片肺挿入など ほぼ起こらない

文献

  • 1)Yamada NK, et al. Supraglottic airways compared with face masks for neonatal resuscitation: a systematic review. Pediatrics. 150(3): e2022056568, 2022