(2)方法(図5,6)

  • 脳幹までの検査である自動聴性脳幹反応(AABR:automated auditory brainstem response)と内耳までの検査である OAE(otoacoustic emission)のどちらかを施行することとされてきた.近年は AABR が推奨されている.
  • 2021 年 10 月9日に NHK(News 9)で難聴児に関する特集が報道された.出生時にOAE にて「pass(正常)」と判定されたが,2歳時に言葉の遅れから知的障害と診断された.難聴者の数%に認められる聴神経疾患は,AABRでは「refer(要精密検査)」,OAE では「pass(正常)」と評価されてしまうことに起因する悲劇である.OAE で検査されたことにより,早期療養に繋げる機会を喪失したことになる.
  • 2021 年時厚生労働省母子保健課(現,こども家庭庁母子保健課)により自治体(n = 1,741)を対象とした調査が行われた.2021 年時点では新生児聴覚スクリーニング検査の 15.3%は OAE によって施行されていた.厚生労働省は「OAE は元来推奨していない」とした.検査機器は今後 AABR に移行する必要がある.
  • AABR 機器の費用は 300 万円程度であり,施設の金銭的負担は大きい.検査には静謐条件で 15~60 分の時間を要することより検査を施行する職員の負担も大きい.しかし,検査精度の点からは AABR が推奨される.各都道府県産婦人科医会ではAABR 換装に対する補助を各自治体に求めている.

図5.AABR 検査中の児

図6.AABR 検査している職員