(2)新生児や乳児にみられる皮膚トラブル

  • おむつ皮膚炎,脂漏性湿疹,新生児ざ瘡,汗疹が新生児期によくみられる.
  • 乳児湿疹は,アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎など様々な皮膚炎を含む(図 19).日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診断基準では,乳児の場合,「痒みを伴う湿疹が2か月以上慢性的に続くこと」が基準として記載されているため,乳児期早期の診断が困難となる.一方,世界的に用いられている The U.K. Working Party のアトピー性皮膚炎診断基準(https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/atopic_dermatitis.html)では,2か月以上の慢性の経過という基準がないため,早期診断が可能となる.実際,生後1か月時には,既にアトピー性皮膚炎を発症していることが分子レベルからも明らかとなった.生後1か月時のざ瘡からアトピー性皮膚炎になるケースも多い.
  • 乳児期早期のアトピー性皮膚炎に対する早期介入,早期寛解,早期寛解維持により離乳食開始前に鶏卵アレルギーが 25%減少するという研究成果もある(図 20).皮膚トラブルが改善しない場合は,自然によくなるという説明ではなく,医師に相談するように指導する.

乳児湿疹:乳児期にできる湿疹すべて  乳児のアトピー性皮膚炎なども含まれる  図 19.乳児湿疹の概念

図 20.二重抗原暴露仮説に基づく即時型食物アレルギー予防