(1)子宮筋腫
1 )診断
急速に増大するものや典型的な画像所見を示さないものは子宮肉腫との鑑別を要する.
①内診
内診指もしくは腹部から硬結を触れる.
②超音波断層法
境界明瞭な低信号腫瘤,変性で高信号となることがある.
③ MRI
子宮肉腫との鑑別や,子宮内腔との位置関係を判断する場合などに行う.
④子宮鏡検査
粘膜下筋腫の診断に有用.
2 )治療,管理
症状のない症例には必ずしも治療の必要はなく,症状を対象に治療を行う.
①過多月経の治療
トラネキサム酸やレボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)を使用する.挙児希望がなければ,子宮鏡下子宮内膜焼灼術やマイクロ波子宮内膜アブレーションも選択肢となる.
② GnRH アナログ
GnRH アンタゴニストであるレルゴリクスはフレアアップを起こさず速やかにゴナドトロピン分泌を抑制するため,効果発現が早い.GnRH アゴニスト,アンタゴニストはともに低エストロゲンによる骨密度低下や更年期症状が出現する.
③手術療法
挙児希望がある場合には核出術が考慮されるが,高年齢者には根治性の高い子宮全摘術を推奨する.
④その他
手術を希望しない患者には,子宮動脈閉塞術や保険適用はないが集束超音波療法(FUS:focused ultrasound surgery)の選択肢もある.
⑤以下の場合には高次医療機関へのコンサルトを考慮する.
- 症状が強く,かつ,閉経まで時間がかかると見込まれる時
- 急速な増大,閉経後増大などの理由で肉腫を疑う時
⑥コツ・TIPS.
- 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP:low dose estrogen and progestin)やジエノゲストは月経痛緩和や月経量抑制には効果的だが,筋腫に対する保険適用はなく,筋腫縮小効果のエビデンスもない.むしろ時には筋腫を増大させるため注意が必要.
- 子宮肉腫をほとんど疑わないが否定が必要な時は,1~2カ月 GnRH アンタゴニストを用い,縮小すれば子宮筋腫と考える.