(1)HRT

・50 歳未満で外科的閉経になった場合,その後にHRT を行わないと心血管リスクが増加し,さらに生命予後が悪化する.
・50 歳未満で外科的閉経や放射線治療,化学療法により人為的閉経に至った場合,HRT を行うことが望ましい(図36).

・手術で子宮が残っていない場合はエストロゲン単独療法(ET)を行い,放射線療法や化学療法のみで子宮が残っている場合は,エストロゲン・黄体ホルモン併用療法(EPT)を行う.
・子宮頸部扁平上皮癌はホルモン依存性ではないため,HRT は再発リスクに影響を与えないと考えられている.その為子宮頸癌の治療後のHRT は可能である.
・子宮頸部腺癌はその発生にエストロゲンが関連している可能性が否定できないため,子宮頸部腺癌治療後のHRT を行うには患者への十分なインフォームドコンセントを行うことが望ましい.
・子宮内膜癌治療後のHRT による再発リスクは認めておらずHRT は可能である.
・上皮性卵巣癌治療後のHRT に対するメタ解析で,HRT は死亡リスクを減少させることが報告された.この解析に含まれる2 つのランダム化比較試験でも死亡リスクを増加させないことから,上皮性卵巣癌の治療後のHRT は可能である.ただし,ベバシズマブはそれ自体が血栓症のリスクを増加させるので併用する場合は注意を要する.