医事紛争対策部

 

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〔本年度新規事業は斜字

 

[4]医事紛争対策部 

 産婦人科領域における医事紛争は残念ながら減少していない。昨年度は新民事訴訟法が施行され、また、診療録開示の実現する日も近い。さらに、一般的な社会情勢は経済不況、金融不安、グローバルスタンダード化など大きく変動している。このような大きな情勢の変化をも視点に入れ、今後とも各支部における医事紛争に関する情勢を分析していかなければならない。

 当部は適正な医療の啓発を会員に対し引き続き行うが、本年度はさらにコメディカルに対する働きかけに重点を置く。また、一旦紛争が生じた場合、我々の行った医療の正当性を訴訟の場で誤解されることなく主張しうる環境整備を目指し、鑑定人のリスト作成に着手する。各支部や関連各部、さらには日本医師会などとも綿密に連携しながら以下の医療事故防止対策と医事紛争対策事業を遂行する。

1.医療事故防止対策

(1)「正期産仮死児調査」報告書の作成・配付

 本調査は、「脳性麻痺を一例でも少なくする」という究極的な目標に向けて、発生原因の把握とその対策を図る基礎資料を得ることを目的に、財団法人日母おぎゃー献金基金よりの委託研究事業として、平成8年度より3カ年間にわたり実施されたものである。

 前年度での研究事業終了に伴い、本年度は、収集した症例を詳細に検討して報告書を作成し、日母おぎゃー献金基金をはじめ、各協力施設(270施設)・協力団体(日本産科婦人科学会、日本新生児学会、新生児医療連合会、東京都母子保健サービスセンター)、ならびに本会各支部に配付する他、研究成果は、日本産科婦人科学会総会において発表し、また、学術誌への論文として学術誌に発表する予定である。

 このことにより、脳性麻痺と分娩障害との関係や、先天性・胎児性の脳性麻痺の存在などへの理解を深め、「脳性麻痺を一例でも少なくする」ことへの基礎資料として、本報告書が活用されることを望んでいる。

(2)小冊子「これからの産婦人科医療事故防止のために」の作成

 平成9年度より、経済性と速報性等を加味して創刊した本冊子の発刊を継続して行う。常に新しい診療上の知識、今後とも変化しつつある産婦人科診療を取り上げて事故防止に役立つものをとの観点から、本年度は、子宮外妊娠、常位胎盤早期剥離、骨盤位などを取り上げる予定である。

(3)研修メモ「看護要員の医療事故防止のために」の発刊とスライド作成

 既刊の医事紛争関係研修メモを、より時代にマッチしたものに改訂を図る一環として「看護要員のための医療事故防止(昭和54年刊行)」、「異常発見のためのチェックポイント(平成3年刊行)」の研修メモを取り上げ、前年度より改訂作業をはじめている。本年度はこの改訂版を「看護要員の医療事故防止のために」として合本化して発刊する。

 また、看護要員等の研修や医療事故防止に役立てて頂くために、同改訂版に収載されているポイントとなる図表等をスライド化し、各支部に配付する。

(4)既刊「会員研修資料」等の改訂・検討

 昭和51年より医療事故防止対策の一環として会員研修メモ等を作成し、会員の医療事故防止のため研修に供してきたが、内容については逐次その改訂を図り、新しい知見を加味してより時代に即したものへと改訂してきた。

 本年度は、平成4年、5年の2カ年間をかけて大改訂した「産婦人科医療事故防止のために」(上下巻)を取り上げ、平成12年度以降の改訂を目指しての検討に着手する。

(5)汎用されている「能書外使用」薬剤に関する検討

 前年度行った「能書外処方の実態調査」から、能書外使用であっても実際には汎用されている薬剤を検討し、関連各部、関連学会などとの検討協議の上、厚生省に対し要望書等により薬剤の追加適応を得るための働きかけを行う。

2.医事紛争対策

(1)医事紛争事例の対応

 日本医師会医事紛争対策担当者や法律関係の関係者との積極的な連絡を図り、医療の動向や、患者の権利等の社会的な動向等を踏まえた“up-to-date”な情報収集を図ると共に、各支部あるいは当事者からの要請のあった事例に対しては、当事者、担当者、場合によっては法律家を交え、医学的、法律的な見地よりブレーンストーミング的な検討を行い、対策について助言、援助を行う。

(2)鑑定人推薦依頼に対する対応

 各支部あるいは当事者、および裁判所等からの鑑定人依頼に対し、その事例を十分検討の上、医学的専門分野を参考に、鑑定人としての経験、人柄等を考慮の上、鑑定人を推薦する。

(3)鑑定人のリストアップ

 医事紛争事例に対する第3者の適正な助言を得ることは、医事紛争対策の根幹でもある。しかし、支部内で鑑定を必要とする事例がある場合、その対応に地域的な事情等を排除しての人選が求められるため、各支部でも苦慮されているのが現実と思われる。そこで、本年度は、事前に鑑定人のリストアップを行い、各支部での活用に供する。

(4)結審事例の検討

 平成7年度に導入した判例文献CD-ROMを、平成11年度版に更新し、最近の産婦人科関連の判決について、詳細に分析、検討、集積を行う。同種の判例に関する情報を必要とする会員の依頼に対しても、過去の判例、法律関連文献等の抽出をもって対応していく。

(5)産婦人科関連医薬品使用上の注意に関するパンフレット作成

 PL法施行に伴い変更が相次いでいる添付文書の「使用上の注意」を、産婦人科で頻用する薬剤に限りパンフレットにまとめ会員に配布している。今年度も必要があれば適宜作成し、対応することとする。

(6)支部月例報告

 各支部より報告された月例報告の中から医事紛争に関する事例を集積すると共に、報告例より医事紛争の実態把握に努める。 

3.委員会

 以上の事業を円滑に遂行するため、医事紛争対策委員会を存置する。

 

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