32. 臍帯巻絡・真結節

 臍帯巻絡は、全分娩の約3割に認められる。体幹や四肢などの巻絡の診断は難しいことや、臨床的な判断ができないことから、通常頸部の巻絡のみが超音波検査の対象となることが多い。臍帯巻絡がない場合と、1回ありの場合の周産期予後は変わらない。初産で2回以上、経産で3回以上の巻絡で急速遂娩の頻度が高くなると考えられており、その様な場合のみ注意する。

 多重な頸部巻絡では、子宮内胎児死亡の頻度が増えるが、これらは分娩開始前に死亡する場合が多く、必ずしも分娩時のリスクが高いとは言えない。多重巻絡で帝王切開すべきかどうかいうところには議論の余地がある。

妊婦への不安を煽らないようにすべきである。頸部巻絡は、妊娠中に新たに巻いたり、外れたりすることもあり、妊娠末期に診断する。

 一方、胎児が巻絡の係蹄をくぐりぬけると臍帯真結節になる。真結節は確かに胎児死亡の事例などで娩出後に発見されることもあるが、問題なく出生に至り、真結節が娩出後に分かるものも少なくない。正常なワルトン膠質をもつ臍帯が偶然に結節となるので、あまり血流に問題がないのであろうと考えられる。よって、真結節の超音波スクリーニングは不要と考えられる。たまたま偶然に見つかることもあるが、貴重な症例報告としてあるほど、実際の超音波診断は難しい。

私の唯一超音波診断できた真結節