13.妊娠初期の胎児形態異常のスクリーニング

妊娠中期には多くの施設で胎児形態異常のスクリーニングが行われているかと思います。超音波機器の向上によって、もっと早い時期にも形態異常の観察が可能となっており、妊娠初期の系統立てた胎児形態異常のスクリーニングもできるようになってきています。欧米では少し前からわりと広く行われています。妊娠11-13週頃に行うことが多いです。妊娠初期の異常所見の疑いなどは不要な妊娠中絶に繋がることもあるので必須の検査ではありませんので、スキルや知識なく安易に行わないように気を付ける必要があります。今回は、そのチェック断面をご紹介します。

1.頭部水平断
脈絡叢断面(バタフライサイン)と、小脳断面の確認

2.頭部冠状断
顔面と眼窩の確認

3.体幹正中矢状断
発育・胸郭・腹部・脊柱の確認

まずニュートラルポジションで胎児正中矢状断を描出し、左右にスライス操作して形態異常の有無を確認する。

4.胸部水平断
心軸、心臓four chamber viewの確認

四腔断面の確認、肺野の異常の有無の確認を行う。妊娠11週では四腔断面の描出はちょっと厳しい。

5.胸部矢状断
肺、横隔膜(左右)の確認。

6.腹部水平断
胃泡・膀胱、2本の臍帯動脈の確認

膀胱は描出できないこともある。

7.四肢の任意断面
四肢・手指の確認

四肢の形態、両側手指について、本数、形態を確認する。

8.外性器
必ず正中断面で、腰椎との角度で判断する。女児でも生殖隆起として突起物があるので、それだけで男児と判断できない。診断精度は高くないのでinformには注意を要す。