【第3回】7.産痛緩和

*各項目推奨のレベルは以下の通りです。

  1. 科学的根拠があり、行うよう強く勧められる。
  2. 科学的根拠があり、行うよう勧められる。
  3. 科学的根拠はないが、行うよう勧められる。

**本ゼミナールは、厚生労働省班研究2011-2012年「母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査―科学的
根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂-」(研究代表者:島田三恵子 大阪大学教授)に基
づいており、同研究班が発行した「科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラン(金原出版株式会社
2013年)」を参考にしてください。

 分娩時に産婦が感じる痛み(陣痛)は、女性が生涯に経験する痛みの中で最も強いものと言われています。分娩に伴う痛みは産婦にとって恐怖の対象となり、またそれに対する緊張感から分娩進行に悪影響を与える可能性もあります。安全で安心なお産のためには産痛の緩和を図ることは重要です。産痛緩和には硬膜外麻酔による所謂無痛分娩の他、助産師によるマッサージ、指圧、アロマセラピーといったものもあります。産痛緩和が、お産の満足度に与える影響について調べたところ、図14に示す通り、産痛緩和が妊娠全期間を通しての満足度と分娩期の満足度を有意に上昇させることがわかりました。この結果と、文献システマティックレビューから、以下のRQと推奨が得られました。

         (図14)

RQ 産痛を緩和するには?

推奨
 医療者は出産施設において産痛緩和法にどのようなものがあり(例:自由姿勢・歩行、温罨法、入浴、マッサージ、指圧、鍼、アロマセラピー、硬膜外麻酔等)、その施設でどれを提供できるかについて、妊娠中からそのメリットとデメリットの情報を提供し、状況が許す限り産婦が選択できるようにする。硬膜外麻酔については、他の産痛緩和法よりも産痛緩和効果は高い。しかし、分娩第2期遷延、オキシトシン使用頻度の増加、器械的分娩の増加、胎児機能不全による帝王切開分娩のリスク等を高める可能性がある。したがって、硬膜外麻酔を使用するか否かについては、これらのメリットとデメリットについて、産婦の理解を得たうえで、産婦が選択できるようにする。【C】