【第2回】6.分娩体位

*各項目推奨のレベルは以下の通りです。

  1. 科学的根拠があり、行うよう強く勧められる。
  2. 科学的根拠があり、行うよう勧められる。
  3. 科学的根拠はないが、行うよう勧められる。

**本ゼミナールは、厚生労働省班研究2011-2012年「母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査―科学的
根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂-」(研究代表者:島田三恵子 大阪大学教授)に基
づいており、同研究班が発行した「科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラン(金原出版株式会社
2013年)」を参考にしてください。

            (図13)

 分娩第1期では長時間であることや、陣痛から気をそらせるために自由な体位でいることが多いですが、子宮収縮薬使用時など、点滴やCTG装着が必要な場合は、体位が制限されることになります。長時間の同一体位継続は、産婦の身体的、精神的苦痛が大きくなり、お産の満足度低下につながりえます。また、分娩2期の体位は、医療者側の管理がしやすい仰臥位が一般的と考えられますが、この体位での努責は必ずしもたやすいものではありません。分娩体位とお産の満足度についての調査では、図13のとおり、児娩出時に母体仰臥位であることはそれ以外の体位に比べ、有意に満足度を低下させることがわかりました。この結果と、文献システマティックレビューから、以下のRQと推奨が得られました。

RQ 分娩中、終始自由な体位でいるか?

推奨
 分娩第1期において、胎児の安全性が確保できるのであれば、産婦ができるだけ、拘束のない自由な姿勢で過ごすことができるように配慮する。【A】

 CTGを装着する場合は、胎児の健康状態を精度高く捉えられることを前提として、一定の体位の保持がなぜ必要であるかを説明する。【A】

 産婦が同一体位を保持しなければならない場合に、苦痛を取り除く工夫(クッションなどの補助具の使用)を行う。【B】 

 座位分娩やフリースタイル分娩は、快適性からみると、分娩第2期では産婦の満足度は高い。第3期は出血量の増加などの出産のリスクがあるため水平位(仰臥位、側臥位)にする。【B】

「次回に続く」