平成16年度 事業計画  
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H17 H16 H15 H14 社団法人日本産婦人科医会
H13 H12 H11 平成16年3月
 

青色は新規事業〕

1. 総務部
 A. 庶務
 B. 対外広報    ・渉外
 C. 法制・倫理
2. 経理部
3. 学術研修部
4. 医療安全・   紛争対策部
5. 医療対策部
 A. 医療対策
 B. コ・メディカル対策
6. 勤務医部
7. 社会保険部
8. 広報部
9. 女性保健部
10. 母子保健部
11. 先天異常部
12. がん対策部
13. 情報システム部
14. 献金担当連絡室
[9]女性保健部

 女性保健部では、周産期とがん(母子保健、先天異常、がん対策の各部担当)を除く女性特有の疾患とその予防を、女性の一生を通じての生涯医療と捉えて、女性が女性としての尊厳性を確保し、社会がその尊重を図る上で、産婦人科の専門性を活かすことを課題としている。
 女性特有の疾患等は、底辺が広くかつ各年代にわたって存在しているため、女性のライフステージを思春期、成熟期、更年期、老年期とに分け、情報収集と検討を通じて、会員には日常診療に役立つ有用情報を、社会には産婦人科医療への理解に役立つ情報を提供することを活動方針に、随時“up-to-date”なテーマを選んでアプローチしている。
 女性にとって、各ステージにおける心身の生理的変化等が、その範囲を逸脱して疾患の誘因とならないように予防すべきであるが、最近では“女性専門外来”や“DV”、“介護保険制度の見直し”をはじめとする社会的な側面も、今後の女性保健に影響を及ぼす可能性が高いことから、本年度は、これらの側面をも加味した事業を以下のとおり行う。

1.思春期
 「健やか親子21」とも連携し、思春期における諸問題への支援策と啓発策を検討する。

(1) 第27回性教育指導セミナー全国大会の開催(開催担当:秋田県支部)
 本年度は、秋田県支部担当のもと「今求められる性教育とは?」をメインテーマに、性教育担当者らの役割分担とその相互理解に役立つ内容を盛り込んで開催されるので、本部としても種々支援する。
 開催日程:平成16年8月1日(日)・秋田ビューホテル
 また、本セミナーの「集録」を作成し、各支部に配付する。
(2) 第28回性教育指導セミナー全国大会の開催協力(開催担当:福岡県支部)
 平成17年度の「性教育指導セミナー全国大会」開催担当支部への協力と支援を図る。
 開催予定:平成17年7月10日(日)・福岡県メディカルセンタービル
(3) “性教育指導セミナー”のあり方検討
 第29回(平成18年度)以降の開催地選定や、セミナーの内容や開催方法等の検討を随時行い、平成15年度発刊の「第26回セミナーアンケート結果」の活用も視野に入れて、会員・社会にとって有益なセミナーのあり方を展望する。
(4) 学校医・学校協力医へのアプローチの推進
 産婦人科医が性教育関連でも学校保健に参画できるよう、関係当局等への働きかけを継続する。また、日本医師会の「学校における性教育4科連携モデル事業」(平成15年度は千葉市、大阪府、厚木市の3地区)に協力し、支援を図る。さらに、文部科学省が平成16年度より開始する「学校・地域保健推進事業」に関しては、各支部における当該事業の内容、進み具合を調査すると共に、必要があれば各支部に協力する。
(5) 思春期外来の診療マニュアル(モデル)作成の検討
 「思春期相談マニュアル」(平成2年度:厚生省委託研究)、「中学校教師特に保健体育担当教師向け教本(女生徒用)」(健康情報広報センター)等をはじめ、本会が監修・協力した冊子等を参考に、マニュアル形式で外来診療にも活用でき、視覚に訴え、利便性を備えた資料形態とはどうあるべきかをも模索しつつ、引き続き検討を重ねる。さらには思春期外来で会員が使用に便利な「診療録」のモデルを検討する。
(6) 10代女性における人工妊娠中絶の防止対策
 身体的、精神的影響の面からも10代女性における人工妊娠中絶の防止策を模索する。 また、望まない妊娠に至ることを防止することも考え合わせて、緊急避妊法対策として、いかなる啓発策が有効であるかをも模索する。
(7) 性教育スライドの改定
 平成13年度に本女性保健部が作成した性教育用スライドのデータ等を最新のものとする。ただし、パワーポイント等で作成して支部へ送るなど、考慮する。
(8) 厚生労働科学研究事業への支援
 平成16年度の厚生労働科学研究(子ども家庭総合研究事業)として、本会内に組織された「産婦人科等医療機関における性に関する思春期保健指導のためのマニュアルの開発に関する研究」班の活動を支援する。

2.性成熟期
 本年度は、この時期の女性が陥りがちな問題点に焦点をあてて、その社会的な啓発策をメインにして動向把握と検討を通じて、女性保健の充実を図る。

(1) 性感染症予防対策
 HIV等のSTDに関する内外の状況把握や最新情報の会員への伝達はもとより、本年度はこの時期の女性への啓発策も考慮に入れた予防対策の検討を継続する。
(2) “産婦人科デビュー”対策
 産婦人科は妊娠関連の診療科とイメージされるためか、はじめての受診にはある種の逡巡や感慨の他、人生におけるイベント的な意味合いをも女性は見出しているようである。
 これらをネーミングの問題と捉えると「女性専門外来」等の呼称を生むようであるが、イベント的意味合いから捉えた場合、どのような対策が考えられるかを検討する。具体的には、女性にとって最も気軽に末永くつき合えるのが“産婦人科”と捉えてもらうよう、医師ならびに受診者に役立つ小冊子を発行する。
(3) 低用量OC
 後述のホームページを通じて、正しい医学情報による低用量OCへの啓発と、月経困難症や子宮内膜症に対する効果等の動向把握を継続して行う。 また、昨年度行った低用量OCと月経困難症、子宮内膜症に対するアンケート調査結果をまとめる。
(4) 不妊
 不妊症診療におけるprimary consultationの実施に向けた会員支援、ならびに不妊専門相談センターの全国における開設動向の把握を継続する。
(5) ホームページ「Female-Health カラダの中から美しく!」の継続
 本会監修のホームページ「Female-Health カラダの中から美しく!」を継続し、社会的な啓発と閲覧者よりの投稿欄等で女性保健全般にわたる動向把握にも活用する。

3.更年期
 本年度は、健常者への支援策、女性専門外来、生活習慣病をメインに以下の事業を行う。

(1) より快適な過ごし方に向けた支援策の模索
 健常者を対象に、予防医学の観点に立った分野の開拓を継続して模索する。
(2) 「女性専門外来実態調査」の集計・分析
 昨年度、思春期・成熟期小委員会作成のアンケートの実施を更年期分野の視点から行い、集計・分析の上、実態把握に努める。 調査結果は、各支部に提供する他、前述“産婦人科デビュー対策”においても活用する。
(3) 中高年女性のヘルスケアー編「生活習慣病マニュアル」(仮称)作成
 HRT、高脂血症、高血圧、肥満、糖尿病など、中高年女性のヘルスケアーに役立つ簡便なマニュアルとして、生活習慣病を取り上げた小冊子を作成し、会員の利用に供する。 なお、新たに取り上げるテーマも随時検討し、マニュアル化に向けて準備する。
(4) 最近の知見を踏まえたHRTの指針の策定
 WHIやMillion Women Study等の結果より、HRTに関する考え方が世界中で変化してきている。そこで、その後の日本の成績を踏まえ、日本人女性におけるHRTに関する医会の指針を提示できるかどうかを検討する。

4.老年期(介護に関する活動)
 平成17年度の介護保険制度自体の見直し、昨年度の「介護施設における高齢婦人科疾患に関するアンケート調査結果」の活用を視野に入れて、以下の事業にて対応を図る。

(1) 「介護施設における高齢婦人科疾患に関するアンケート調査結果」の活用
 昨年度作成の調査結果は、入所者の疾患と対応、性衝動などの実態が示されているため、今後の婦人科医療を考える上での参考資料として関連各部に提供すると共に、その活用を図る。
(2) 「産婦人科医のための介護保険マニュアル」(仮称)の作成準備
 介護を取り上げた調査結果(前項と「介護に関するアンケート調査結果」:平成14月12月刊)や、介護保険制度自体の見直し状況も参考にして、産婦人科医に必要な介護保険の知識を取りまとめた冊子の作成を開始する。
(3) 介護保険の動向把握と情報提供
 介護保険制度の見直しを含めた介護保険の動向把握(行政や介護保健施設等)に努め、随時会員にとって有用な情報の提供を図る。

5.「全国支部女性保健担当者連絡会」開催の準備
 平成14年度の「女性保健と介護に関する検討会」を通じて、全国的な担当者連絡会の開催是非や時期等を検討してきた。その結果、平成17年度以降の介護保険制度の見直し結果を踏まえての開催予定とし、本年度はその準備期間として検討を継続する。

6.性的暴力(DV)への対応
 女性保健における対応策の観点から、性的暴力の実態や対策等の動向把握に努める他、関連各部とも連携して必要な情報をホームページや日産婦医会報等で会員に提供する。

7.女性保健(産婦人科医療)の一般社会への働きかけ
 気軽に末永くつき合えるようなイメージにも心がけて産婦人科医療への理解が深まるよう、女性保健の立場(女性のprimary careを担う専門医として)から社会にアピールし、適切な医学的知識への啓発に努める。

(1) ホルモン剤(OCやHRT)や性感染症等に関する啓発
 関連団体、企業(製薬・メディア他)等と協調し、ホルモン剤への正しい理解を図る。また、上記、思春期、性成熟期、更年期にも述べたように、性感染症や緊急避妊法など、一般女性が知っておくべき事項等についても、female healthに関するホームページ始め可能な限りの手段を用いて啓発する。
(2) 女性保健向上のための公開講座等への支援と活用
 女性保健の向上には、正しい医学情報の社会への還元が不可欠なため、産婦人科医療への適正な理解を得る上で、学会と合同で行う公開講座等への支援とその活用を図る。

8.関連諸団体との連絡提携 関係省庁や日本医師会、日本産科婦人科学会等と連絡し、円滑な事業推進に資する。

9.委員会 以上の事業を遂行するために、女性保健委員会を存置する。