2.チョコレート嚢胞患者を高次医療機関へ紹介するタイミング:検診期間・いつまで検診するのか?

Answer: 3~6か月ごとに嚢胞のサイズを測定する。
現在、45歳以上、嚢胞サイズが大きいほど癌化しやすいという論文はあるが、世界中の文献やガイドラインあるいはシラバスを検索しても、チョコレート嚢胞を何か月ごとに検診すれば癌の見逃しはないのかに対するエビデンスはない。明確な根拠はないものの実臨床ではほとんどの医師が6か月(以内)で再診している。

診察上の留意点は、
1. 内診、直腸診により圧痛の有無を確認する。
2. 有経患者では月経困難症の有無を確認し、徐々に改善している場合は要注意である。内膜症による炎症が改善し癌化に向かっている可能性も考慮してほしい。
3. 経腟超音波診断によりサイズの増大、隆起性病変の有無を確認する。
4. 嚢胞サイズの増大傾向があれば、2~3か月後に再診しさらなる増大が起こっていないか確認する。嚢胞内の出血により1 cm程度の変化はよく経験する。
5. 定期的にCA125を測定し上昇のないことを確認する。閉経の場合は15 U/ml程度を基準値と考え、例えば10 U/ml→20 U/ml→30 U/mlと正常範囲内でも上昇傾向がある場合は癌化していないか注意する。
6. 閉経すれば大丈夫といういい方はしない。周閉経期にこそ癌化が多い。

<6か月ごとに半永久的に受診してもらうコツ>
6か月毎に内膜症のフォローだけで受診してもらうのは、相当の信頼関係がないと継続困難である。しかし、約1%が癌化するのも事実であるので、自分が診ている患者だけは癌化させたくない。そこで、患者の自覚症状や訴えを聞いて以下の診察も行っている。
血圧測定、貧血検査(白血球, 赤血球, ヘモグロビン, ヘマトクリット, 血小板)、肝機能検査(AST, ALT, ALP, r-GTP, LDH)、血中脂質検査(総コレステロール, HDL, LDL, 中性脂肪)、腎機能検査(BUN, Cr, 尿蛋白, 尿潜血)、子宮がん検診(内診と頸部細胞診 1~2年毎)
 軽症例であれば自分で加療することによりoffice gynecologistとしての手腕を発揮することが可能である。

<6か月ごとに診察していた場合の癌化>
閉経前、7 cm以上のサイズからの発癌が60~80%を占め、ほとんどはIC期であり、III期以上は少ない。本邦では明細胞癌が2/3、類内膜癌が1/3を占めている。

<癌化を強調しすぎて手術を勧め過ぎない>
2017年の婦人科ガイドラインからは下記のように、「悪性化を考慮して手術療法が優先される」という文言が削除されました。「もうそろそろ閉経で、7 cmのサイズなので癌化するかもしれないので手術したらどうですか?」というのは言い過ぎかもしれません。もちろん、癌化の早期発見は我々の念願です。
2017年4月にガイドラインが発刊されますので、一読をお勧めします。それと同時に医会発刊の研修ノートも参考にしていただき、ぜひ外来でご活用ください。