[7]社会保険部

 「聖域なき構造改革」は小泉内閣が掲げた基本施策である。その内、社会保障制度の改革は重要な柱であり、その中核をなす「医療制度改革大網」がまとまった。その骨子は(1)診療報酬点数の引き下げ(2)政府管掌健康保険の保険料引き上げと7割給付で統一(3)高額療養費の自己負担限度額の見直し(4)高齢者医療制度の対象を75歳以上とし、70〜74歳の患者負担は75歳以上と同様に(5)老人医療費について伸び率抑制のための指針を定める、である。

 とくに予算編成の段階で、診療報酬は2.7%の引き下げがきまった。

 このような厳しい医療情勢の中、社会保険部の役割は重大である。

 平成14年度、遂行を予定している事業は下記の通りである。

  1. 産婦人科診療報酬の適正化に向けての検討
     前回からの診療報酬改定にみられるように機能別体系化への移行をはじめとして医療保険の枠組みは大きく変わりつつある。産婦人科診療報酬の適正化を推進することと、産婦人科医療にとって最善の診療報酬点数のあり方について検討し、その意見を関係当局に具申しその実現に努力する。
  2. 診療報酬点数早見表の作成と配布
     診療報酬点数改定が実施された場合、速やかに「新点数早見表」を作成し、会員に配布する。
  3. 診療報酬点数改定に伴う「医療保険必携‐医療保険診療報酬点数運用のための留意事項」の作成と配布
     平成14年診療報酬改定に伴い新点数の運用、留意すべき事項等を整理した「医療保険必携」の新版を作成し、会員に配布する。
  4. 診療報酬動態調査
     定期的にモニター医療機関の協力を得て診療報酬動態調査を行い、点数改定の影響や項目別点数の動態を把握し、産婦人科診療報酬適正化のための資料とする。
  5. 疑義解釈についての解説と会員への伝達
    (1)医療保険運用上の疑義について解説、指導を行う。
    (2)診療報酬点数運用上の疑義に関し、厚生労働省、日本医師会、日本産科婦人科学会にはかり検討を行う。
    (3)新たに発令された通達などを速やかに会員に伝達する。
  6. ブロックならびに支部との連絡および会員の研修・伝達の徹底
    (1)ブロックおよび支部の社保活動を強化するため、ブロック社保協議会および支部社保研修会に協力し、各支部との連携、都道府県審査委員会との連絡を密にし、運用上の問題点については、速やかに対応し検討する。
    (2)全国支部社会保険担当者連絡会を開催する。
    (3)支部を通じ、公的医療機関保険事務担当者との連絡を図り、産婦人科社保運用上の統一を図る。
    (4)社保問題について特に徹底を図る必要が生じた場合は、随時に支部を通じ会員の研修を行う。
    (5)ブロックおよび支部からの診療報酬の適正化へ向けての要望事項を収集し、整理・検討する。
  7. 「日産婦医会報」による会員への伝達の徹底
     社保問題で重要なものについては、随時「日産婦医会報」の紙面において会員に伝達を行う。
     年度末には、1年間の主要な社保関係の本部見解、伝達事項を特集の形で掲載する。
  8. 関連諸方面との連絡折衝
     産婦人科社保診療の円滑な運用のために、日本産科婦人科学会、日本医師会、厚生労働省その他関係諸団体との連絡折衝を図る。
  9. 委員会
     社会保険委員会を存置する。また、必要に応じ社会保険小委員会を開催する。