[10]中央情報室

 日母事務局内に設置したWorld Wide Web(ホームページ)とMail サーバから、会員に対しては会員の必要とする情報を提供し、非会員に対しても本会の活動をよりよく理解してもらえるようホームページを通じて情報提供し続けている。また、会員間のコミュニケーションの手段としてメーリングリストを設置している。これらのシステムをさらに充実し、会員へのサービス向上、一般に対する日母の活動内容の理解を深めることを図りたい。また、日母役員間、各委員会との有機的な連携を図るため、メーリングリストを開設しているが、その運用を進めてゆきたい。さらに今年度からはこのシステムを支部においても導入し、充実した情報交換を図りたい。

 周産期医療を初めとする情報ネットワークについての検討も引き続き行い、今年度からは産婦人科医療における電子カルテの問題点についても検討を進める。

1.ホームページの充実
 日母ホームページは、内容を定期的に更新し、できるだけ最新の情報を提供する努力を行っている。今年度も、各委員会や部会等に積極的に参加し、それらの最新情報をより迅速に日母ホームページや日母メーリングリストへ提供するよう継続して努めてゆく。また大きく発展してきたホームページを会員向けと一般向けに分離し、一般に対してはより分かりやすい、会員には役に立つホームページとしての構築、改善も図りたい。
 (1)会員の情報ニーズの探求
  1)医事紛争に関する情報
 医事紛争については、ある程度公開を行うことにより、逆に医療における予見不能あるいは事前に回避不可能なこともある点や争点となりやすい問題についての解説、医学情報などについて、それとなく理解を図る方がむしろ情報公開の時代に則したやり方と考えられる。医事紛争対策部と協力して、日母としてのホームページに公開できる内容をさらに継続して検討する。
  2)緊急性の高い情報
 今年度からは、緊急情報に関しては、mailing list で「緊急情報(...)」というような件名(Subject)をつけたメールでもアナウンスすべきであろう。
 今後メールが有用な通信手段になるに従い、メールは頻繁に読むようになるであろうが、ホームページは常時アクセスしない場合の方が多いはずである。ホームページは情報の蓄積と公開、メールはリアルタイムに近い相互の情報伝達というような役割分担になる。これらの伝達のシステムを円滑に運用するように図る。
 (2) 非会員の情報ニーズの探求
  1)産婦人科医から提供するお役立ち情報
 今年度も、非会員に日母の活動について広く理解してもらうための情報提供、また産婦人科医として提供できる役立つ情報を更に各委員会・部会と検討する。
  2)広報活動に関する情報
 日母医報は日母の機関誌として、会員への重要な情報提供の手段である。広報委員会・部会においてこれまでに蓄積されてきた経験を活かしてホームページのコンテンツ作りに積極的に参加してもらい、非会員向けの情報、日母の活動内容をより良く理解してもらえるような、内容のさらなる充実を図るよう、広報委員会・部会と連携を行う。そのために、今年度も引き続き広報委員会と情報処理検討委員会との合同委員会を開く。
2.電子メールの有効活用
 本年度も電子メールのさらなる活用について検討を続ける。また最近はiMode、PHSといった手段による電子メールも当然のこととして活用されてきており、本年度はこれらの新しい機器の活用についても検討する。
 (1)本部役員との活用
 当委員会の他でも電子メールによる情報交換がなされるようになってきた。本年度も電子メール活用を引き続き推進してゆく。
 (2)支部との連絡業務に関する活用
 支部システム現状調査結果から各支部への連絡、問い合わせ等に可能な支部から電子メールによる連絡を開始し、さらに、現在電子メールを使用していない支部における導入を推進してゆく。
 (3)日母メーリングリストの活用
  1)日母メーリングリスト
   a)参加の推進のための対策
 本年度も引き続き、特集記事としての日母医報への掲載、さらに会員の参加を増やすよう努めてゆく。
   b)メーリングリストの利点の活用
 医療事故、社会保険請求、あるいは各委員会・部会その他、一般公開の対象ではない内部的問題等については、メーリングリストによる情報交換が比較的クラッキングに対して強靭であると考えられる。メーリングリストの利点を活用してさまざまな情報を会員に提供してゆくといったことが考えられる。
  2)委員会・部会メーリングリストの常設
 今年度は各委員会・部会に対して、メーリングリストを常設し、情報交換の場を広げ、会議の充実を図る。
3. セキュリティについての検討
 (1) Fire wall の保守
 インターネットがさらに爆発的な発展を遂げるにあたり、このようなサーバも攻撃対象とされる危険も増えてきた。委員会でもそのようなことが危惧されていた折り、いわゆる SPAM mailと呼ばれるメール・システムの悪用により、しばらくシステムを停止せざるを得ない事態に遭遇した。そこで日母のインターネット・サーバも、昨年度急遽ファイアーウオール(外部に対する防火壁)の設置を行った。
 今年度は昨年度設置したファイアーウオールを保守してゆく。
 (注)一般にハッキングと呼ばれているのは間違い。ハッキングとはコンピュータに熟達した人間が困難な問題に取り組み、見事に解決するようなことを言い、これらの人間はハッカーと呼ばれ尊敬される存在。悪意でネットワーク資源を破壊することはクラッキングと言い、彼等をクラッカーと呼ぶ。
 (2)統合された文書管理とセキュリティ
 セキュリティの問題としては、これら外部ネットワークに対するものの他に、内部ネットワークに対するものがある。日母の内部ネットワーク上に部外秘的な重要なものが増えてきた場合、このような方向での検討も必要となる。
 常務理事会や委員会がネットワークを活用して経費削減・能率化を図るとともに、事務局内での本格的なコンピュータ利用をめざすには、ファイルサーバ上の文書が統一され能率的な整理や保管が必要になる。いずれ「事務局内の文書管理」を専門とする要員を確保すべきで、これにより文書類の適時の有効利用や、セキュリティを図ることができる。
4.産婦人科医療における電子化、ネットワーク化
 (1)電子カルテネットワーク化の普及推進
 情報ネットワークの技術は、わが国のあらゆる産業に影響をあたえている。医療の分野も例外ではなく、現在の医療水準を維持しながら、医療のかかえる諸問題を解決するには、すべての情報を効率的に運用する電子カルテネットワーク化を早期に実現しなくてはならない。これらのプロジェクトはすべて本委員会の実績によるものである。平成11年度から、経済産業省(旧通産省)による電子カルテネットワーク化プロジェクトがスタートしている。また、平成11年4月の通達にみられるように、厚生労働省も診療録の電子化には積極的であり、今後国立病院を中心として電子カルテのプロジェクトが急速に進められる予定である。
 今後本委員会においてはこれらのプロジェクトをリードする形で、周産期医療用電子カルテの開発とそのネットワーク化を全国規模で普及促進してゆく必要がある。
 (2)産婦人科医療における電子カルテの検討
 厚生労働省は診療録の電子化には積極的であり、経済産業省もこのネットワーク化に乗り出している。まだ、電子カルテが一般に普及するにはやや間があると思われるが、このような時期に産婦人科の立場から使いやすいものを確保するため、日母として産婦人科医療における電子カルテについての検討を始めておくべきかと思われる。
 電子カルテの全体的なことについては、医療情報学会や厚生労働省の研究班などで行われつつあるが、それらに接合する形で産婦人科としての電子カルテの問題点と対応などについて検討を行う。
 (3) 医療情報開示への支援
 平成12年1月に日本医師会の「診療情報提供に関する指針」が施行され、わが国においても医療情報開示が日常診療のスタンダードになりつつある。特に大きな問題は報告されていないが、電子カルテとの接点もからめ医療対策部、医事紛争対策部、勤務医部とも連絡協議を進め医療情報の処理・管理の面から検討する。
 (4)人工妊娠中絶実施報告書等の電子化
 厚生労働省が電子媒体を用いた各種報告書の作成を許可したことに伴い、産婦人科において現在使用されている報告書類について、具体的な検討が必要と考えられた。昨年度提案した電子媒体を用いた人工妊娠中絶実施報告書に関して、今年度は厚生労働省・日本医師会等他の関連団体へ、システム導入への指針を提示してゆく。さらに、他の報告書類における電子化の可能性についても検討する。
5 .日母事務運営の能率化
 日母事務局や各支部の能率化を図ることによって、日母事業をよりスムースに運営できるようにする。
 (1)日母事務局内のイントラネットの有効利用
 各部署で蓄積しているデータをサーバに共有し活用できる形とし、各部署間の有機的な連携を図ることは重要なことである。そのために、サーバ内にこれらのデータを管理できるようなスペースを設け、各人が有効利用できるように図ると同時に古くなった機器の更新を順次行い、スムースな運用を図りたい。
 (2)CD-ROM作成・音声入力システムの導入
 画像取り込み、処理等の充実を図り、各種会議・研究会の資料を日母内で処理できるようなシステムを構築する。
 諸会議の議事録に関しては、音声入力システムを導入して速やかに処理できるような仕組みを構築する。
 (3)各種アンケート調査についての検討
 各部で行われているアンケートの集計は、事務局内での処理作業を行うことが望ましい。作業を円滑に進めるために、アンケート作成の段階から各部と協力してゆく。
 (4)各支部における現状調査
 今年度も引き続き調査を行い、通信可能な支部とのネットワークを構築することを検討する。また、電子メールを使用していない支部やネットワーク化を希望している支部への導入支援を推進してゆく。
6.委員会
 情報処理検討委員会を存置する。