[6]勤務医部

 21世紀に入り、さらに社会の少子高齢化は拍車がかかり、疾病への対応ばかりでなく生涯を健康に過ごすための健康増進を含め、女性の生涯に亘る健康支援の中心を担う産婦人科医の果たす役割は重要である。しかし、産婦人科への入局者は引き続き減少傾向にあり、さらに近々導入されるスーパーローテーションシステムが産婦人科専門医の育成にどのような影響を与えるかは予想できない。産婦人科専門医の増加には、まず医学生あるいはローテーションを行う若き研修医に産婦人科の魅力を十分に理解してもらい、年々増加している女性医師が生涯勤務できる支援を行い、高齢産婦人科医への対応も含めて、働きやすいシステムや環境を整備することが必要である。そこで、勤務医部では、勤務医の意見を速やかに取り上げ、産婦人科医療全般にfeed backさせるとともに、勤務医に必要な情報を分かりやすく伝達し、産婦人科勤務医がより働きやすい環境を作るべく、勤務医の抱える諸問題を調査、検討している。本年度も原則として昨年の事業を継続・推進する。
1.「JAOG Information」の発行
 日母産婦人科大会抄録号をはじめ、若手勤務医の日常診療に役立つ医療情報や社保の知識、また勤務医が各年齢に応じて、十分その力を発揮し納得できる医療を行えるよう様々な資格取得や、それらの資格をもった産婦人科医(産業医、スポーツ医、学校医など)に投稿していただく。日母産婦人科大会期間中に行う各支部の勤務医担当者座談会で、各支部の活動状況や定年後の再就職情報などの掲載も企画している。また、各小委員会での調査内容や、その結果を速やかに伝達するため、本年度も年3回の発行を予定している。なお、日母産婦人科医報に準じてA4判での印刷とする。
2.勤務医の待遇に関する検討
 若手産婦人科医の減少、女性医師の増加、勤務医の高齢化の問題から、近年、定年後または中途再就職につながる医療関係人材バンクなどの必要性の声も聞かれる。本年度は「勤務医の再就職に関する意識」のアンケート調査を行う。勤務医部では、定年後に関わる検討としては、平成2年、5年に行っており、今回は8年ぶりの調査となる。また、第3回目となる日母産婦人科大会開催地での勤務医担当者座談会を本年度は富山県で行い、北陸ブロックにおける勤務医の問題点、働きやすい環境への提言、日母本部への要望などをまとめ、JAOG Informationへ掲載する。
3.女性医師の有する諸問題の検討
 女性勤務医の有する諸問題の各種調査を続けている。昨年度は大学病院での女性医師の勤務に対する意識調査のまとめを作成し、関連団体や各施設に送付した。本年度はその反響を検討する。また、女性医師の多いと言われる小児科、眼科、皮膚科や、現在女性医師が増加しつつある外科系の諸科での現状と取り組みを調査し、産婦人科と比較する方法を検討し、より女性が働きやすい環境の模索と整備の一助としたい。
4.産婦人科新入医局員増加のための検討
 毎年約8,000人の新しい医師数に対する産婦人科認定医の割合は3〜4%であり、年々減少している。平成11年度より、全国産婦人科研修指定病院の案内を「日母ホームページ」に掲載した。また、昨年度は、「産婦人科新入医局員増加に向けた各大学の取り組み」、および「研修指定病院における学生・研修医に対する産婦人科入局勧誘について」のアンケート調査を実施した。本年度はその調査を集計し、内容をまとめる。これらの結果をもとに産婦人科の魅力を学生およびローテーション中の研修医にアピールする方法を考える。
5.委員会
 勤務医の活動のために以下の委員会を置く。
 勤務医委員会
 必要に応じて小委員会の設置も考慮する。
 勤務医の待遇のための小委員会
 産婦人科女性医師のための小委員会
 産婦人科新入医局員増加のための小委員会