[4]医事紛争対策部
どの歴史書を見ても紛争に関連した記述が大部分を占めている。国境、民族、宗教、思想等の異なる立場が対立を生み、紛争へと発展してきた。人類の歴史は、数多くの紛争と、その結果、もたらされた不幸な事態を積み重ねているといえる。この反省から、相互理解と尊重、中立的な第三者による調停機関の設置などによって、紛争を回避し、不幸な事態の発生を防止しようとする機運が芽生えたのが20世紀であると言えよう。一方、我々の担当する医事紛争においては、残念ながら目立った解決策が見い出されることのない20世紀であった。しかし、21世紀を迎えて、医事紛争対策として、新たなる可能性をリスクマネージメントに求めたいと考える。この中では診療を実施する上で、患者との相互信頼関係の確立も重要事項として強調していく。リスクマネージメントは、「人間は過ちを犯すものである」ことを前提とした事故防止対策であるが、最終的なキーワードは「患者の安全のため」である。このような考え方を基に、日本医師会をはじめ、各支部や関連各部との連携のもとに、以下に示す事故防止策と、医事紛争対策事業を遂行する。