[3]学術研修部

 近年の著しい医学の進歩に加えて、分娩数の減少や医事紛争の多発など、産婦人科医療にも変革が迫られている。研修のあり方もこの変革に即応したものでなければならない。日母学術研修部は会員にminimum requirement を提示すると共に、先端医療とまでは行かないまでも、最新医療にも遅れをとらないよう情報を提供する責務もある。医師はその場にとどまっていてはならず、常に研修に努め、質の良い医療を提供しなければならない。このような立場から、実地医療に役立つことを第一に、最新の医療情報の提供を心がける。

 学術研修部としては産婦人科を女性のライフサイクルすべてに関与する「女性科」として位置づけ、在宅医療や他科との境界領域の医療、今後増加する高齢者の医療など、医療内容の幅を拡げることを目指している。一方、医事紛争が多い分娩管理や妊娠管理に関する研修も重要である。

 このような状況に鑑み、平成13年度の研修テーマとして、産科関連では平成11年度から始まっている「妊婦・胎児管理シリーズ」として昨年の「妊娠中毒症」に引き続き「新生児のプライマリケア」を、婦人科関連では平成8年から続いている「女性のライフケアシリーズ」として昨年の「女性の美容医学−いつまでも美しく−」に引き続き「不妊症のケア」を取り上げる。

 平成14年度研修テーマは、産科関連は「妊婦・胎児管理」シリーズとして本邦における標準的分娩管理法を提示すべく「分娩管理ーよりよいお産のためにー」を、また婦人科関連は20世紀に引き続き21世紀も最大の問題となると思われる「感染症」を新たにシリーズとして取り上げ、第一段として「感染とパートナーシップ」とした。

 さらに、即時性を重視したテーマを委員会で選定して研修ニュースの発行を適宜行う。

 また、昨年度は効果的な研修を行うために会員研修資料のビジュアル化をめざし検討・協議してきたが、今年度は研修ノートの画像を収録したCD-ROMを作成し、テキストとともに全会員に配布する予定である。さらに、可能な限りデジタル化を企画し、21世紀に向けて効果的な会員研修方法、研修スタイルについて模索・検討を重ねながら、以下の事業を行う。

1.研修資料の作成
 (1)平成13年度研修テーマ
 平成13年度の研修テーマ〈下記(1)〜(2)〉について、研修ノート、研修用スライドを作成し、研修ノートはテキストと共にCD-ROMを作成し全会員に配布する。研修用スライドと保存用CD-ROMは本部で保管する。
 〈平成13年度研修テーマおよび研修ノート執筆担当者〉
 1)新生児のプライマリケア(研修ノートNo.66)
   執筆者:分担執筆(??名)
 2)不妊症のケア(研修ノートNo.67)
   執筆者:分担執筆(??名)
 (2)平成14年度研修テーマ
 昨年度選定された平成14年度の研修テーマ〈下記(1)〜(2)〉について、研修ノート、スライド、CD-ROM作成の準備を行う。
 〈平成14年度研修テーマおよび研修ノート執筆担当者〉
 1)妊婦・胎児管理シリーズ「分娩管理ーよりよいお産のためにー」(No.68)
   執筆者:未定
 2)「感染症」シリーズ「感染とパートナーシップ」(No.69)
   執筆者:未定
2.平成15年度研修テーマの選定
 生涯研修の要である平成15年度の研修目標を定めて、それに沿ったテーマを選定する。
3.生涯研修機会の充実に関する検討
 研修の内容、会員のニーズ、研修の利便性(参加や研修のしやすさ)を生涯研修における3要素と意義づけ、たえず念頭において検討を重ねている。昨年度と同様に、今年度も「研修スタイル」に焦点をあてて新たなる研修方策として会員研修テーマのビジュアル化、また資料のデジタル化を行う。
4.生涯教育のための資料作成とその協力
 日母産婦人科大会や生涯研修会などのビデオ等の研修資料作成に企画・協力し、会員の効率的な生涯研修に資する。
5.日本産科婦人科学会との連絡・協調
 「日産婦・日母生涯研修連絡協議会」内に設置されている両会の生涯研修担当者からなるワーキンググループの場を活用し、調和のとれた生涯研修のあり方に関する総合的・実際的な協議を行い、日産婦学会と日母との協調した研修体制の整備に努める。
6.学術研修情報の提供
 (1)「研修ニュース」の発刊
 昨今の医療状況を鑑みるに、医事紛争に関わる問題などに対し、早急に対応しなければならないことが多い。研修ノートでは“up-to-date”な問題には即応しきれないため、本年度も「研修ニュース」を適宜継続発行する。
 (2)日母医報「学術」欄への対応
 会員への有益かつ系統的な学術研修情報の提供を図る観点から、当部にて企画・検討した学術研修情報を、広報部はじめ関連各部の協力を得て、日母医報「学術」欄に掲載する。
7.刊行物のデジタル化
 学術研修部の刊行物としては研修ノート、研修ニュース、日母医報学術欄などがあるが、将来を見据えてこれらをデジタル化し保存している。本年度も、研修ノート、研修ニュースのデジタル化保存を継続する。さらに、中央情報室の協力を得ながら、日母ホームページへの掲載、会員への配布やその方法についても検討していく。
8.委員会
 上記事業を達成するため、引き続き研修委員会を存置する。