平成9年6月30日放送

平成9年度全国支部長会より

日母産婦人科医会副幹事長 田中 政信

 平成9年度「全国支部長会」が6月15日の日曜日に午前10時より午後4時まで東京の京王プラザホテル「高尾の間」にて行われました。

全国47都道府県の日母支部長および日母役員の計85名が一同に会しました。

この会の目的は、日母を取り巻く諸問題や日母の事業を運営する上で必要な事項について報告したり、また各支部長が直面する問題について、互いに連絡・協議することにあります。

本年からは、この会を昨年まで以上に効果的に行うため、連絡事項は午前中で終了し、午後は全て質疑・討論の時間として設けました。

白須幹事長の「開会の辞」に続き、本年度新たに支部長に就任された岩手の村井先生、福島の馬場先生、福井の松田先生、奈良の平野先生のご紹介とご挨拶の後、坂元会長から約30分にわたり「低用量ピルの認可に向けて、何故、認可が遅れているのか、その理由と審議の進行状況についての説明がありました。さらに各支部や本部との上手な情報連絡・交換の行い方についての要望」などを話されました。

次に各担当部からの報告に移り、まず、「総務部」の「庶務」からは市川担当常務理事が、本部事業部の再編成について縦割り組織の弊害をなくし新時代に即応した体制をとり、同一目的のところは同一部内で事業を行い、各関連部間の連絡・協力をより一層効果的にし、今後の展望を見据えた組織にする目的で従来の13部1室から7部2室に再編成したことの説明がありますた。

変更された部をご説明しますと、渉外部が総務部に包括され、医療対策部、勤務医部、産科看護部が「医療・医業対策部」の医療対策となり、社会保険部も「医療・医業対策部」の中に含まれることになりました。

また、新たに「地域保健医療部」を作り、ここには昨年までの先天異常を含めた母子保健部とガン対策部が入り、更に全く新しく「女性保健医療」をここに作りました。

献金部は献金担当連絡室となりました。

各支部は支部なりに対応をお願い致します。

総務部の「法制」からは、新家担当常務理事が3項目の説明を行いました。1つは「定款の目的の項を一部改正したいこと」、2つ目は「母体保護法の問題点に関して、法制検討委員会で検討していくこと」、3つ目は「母体保護法の指定医師基準の検討および必携の改訂について」でありました。

経理部は松井担当常務理事から、来年度のAB会員の「会費の一本化」についてや、本年度から各部の印刷物の発送を年3〜4回、一括して発送することにより、約10%削減した予算を作成したことなどについて説明がありました。

学術研修部は寺尾担当常務理事から、ラボナールの製造中止を考慮し『静脈麻酔』についての研修ニュースを発行したことや、今年の研修テーマである『ターミナルケア』も既に発行しましたが『流産・早産の管理』『急速遂娩術』も追って発行すること、また来年度は『産道損傷』『思春期のケア』を発行予定であり、今後も日産婦と日母で協議しながら協力し、より良い研修を目指したい旨の説明がありました。

医事紛争対策部からは市川担当常務理事が、人工妊娠中絶の問題や経口黄体・卵胞ホルモン配合剤による血栓症等の副作用調査結果と正期産仮死児調査結果についての説明がありました。

医療・医業対策部の「医療対策」からは佐藤担当常務理事より、日母医報の「医療と医業の欄」を更に一層有効に活用し細部にわたり連絡をしていくことや、今後も回答率90%以上である日母定点モニター制度を継続し、本年度も医療費の調査等を行う旨の事業計画を含めた説明がありました。

「産科看護」は佐々木担当常務理事から、本年10月11日の土曜日に岡山市で開催される第18回全国日母産科看護学院卒後研修会プログラムの紹介がありました。

社会保険からは新家担当常務理事が第27回全国支部社会保険担当者連絡会次第の紹介と、「健康保険法等一部改正案」についての説明があり、更に診療報酬点数改正に関し、日本医師会に要望書を提出した旨の説明もありました。

広報部の河上担当常務理事からは、日母医報の編集方針等について、アンケートを参考にしてより良い医報にすること等の説明がありました。

地域保健医療部の「母子保健医療」は住吉担当常務理事から、平成8年度外表奇形等統計調査結果の説明があり、「女性保健医療」からは清川担当常務理事が、平成10年度日母性教育指導セミナーは長野県支部が担当し、平成10年7月5日に長野市にて開催する旨の説明がありました。

中央情報室からは佐藤担当常務理事が「医療用光カード」の産婦人科領域での利用を検討中であることや、日母ホームページを開設したこと、そのアドレスは医報の最終ページに掲載されてある旨の説明がありました。

献金担当連絡室は笠間担当常務理事から、事業部の再編成で「部から連絡室」となりましたが、事業を縮小した訳ではないことの説明の後、昨年の献金額は1億6,245万円であったことの報告、第25回全国支部献金担当者連絡会次第の紹介、おぎゃー献金協力施設1%増加目標について協力のお願い等につき説明がありました。

午後は3時間にわたり自由討論が活発に行われました。

まず岡山県堀支部長から、本年10月12日の日曜日に岡山市で開催される第24回日母産婦人科大会の案内がスライドを使いありました。

引き続き自由討論に入り日母産婦人科大会での生涯教育講座のテーマについて、例えば「おぎゃー献金研究費配分を受けた研究成果の発表を行う」とか、また現在行われている担当ブロックの大学教授による講演は是非続けて頂きたい等の意見もありました。

次に母子保健事業の市町村移譲や総合周産期母子医療センター構想、がん検診等について活発な意見の交換がありましたが、要は「行政と密に協調し連絡を取り合い進めること」が極めて重要であり、各支部の産婦人科医会が積極的に行政に参画し交渉を行うことがベストとの結論でした。

九州ブロック会から、産科救急時など緊急避難的状況下での非照射血輸血に際してのガイドラインと、実際に使用可能な一般的インフォームドコンセント例についての要望があり、「救命が優先される救急患者や手術中などに予想を越える大量出血が生じた場合は輸血前にインフォームドコンセントを得ることは困難であり、その場合、治療は医師の裁量に託して先行し、その内容は事後説明されることになる。また輸血後2〜3ヵ月間は副作用の有無をきちんと評価することが大切である」という「日本輸血学会インフォームドコンセント小委員会」の見解を担当幹事から解説されました。

更に産科看護学院入学資格についてや医報の横書き、各種委員選定について等の要望もあり、該当する部の担当者が回答しました。

准看制度問題についてやブロック協議会の運営について、また、不妊症に関する保険医療や予防医療等についても活発な討議が交わされました。