平成13年11月12日放送

 第28回日母産婦人科大会を終えて

 第28回日母産婦人科大会会長 新居 隆

 

 日母会員の皆様、こんばんは。富山県支部長の新居でございます。

 本日は、第28回日母産婦人科大会を終えてのご報告を申し上げます。

 大会は、10月13日から14日に富山市の国際会議場で開催されました。ご参加いただいた全国の会員の皆様に厚く御礼申し上げます。また、すばらしい感動的な講演の数々をいただきました講師・シンポジストの方々には、心から御礼申し上げます。親睦ゴルフ大会には60名が参加され、雨も時折降るなか、全員、難しいコースを克服されました。13日のツアーには、黒部峡谷に定員いっぱいの40名が、また立山アルペンルートには当初の予想をはるかに上回る100名の方が参加され、おかげさまでバスを増発する有様でした。また懇親会にも定員の430名という沢山の方がご出席くださり、にぎやかな会になりましたことを開催地として喜んでおります。大会には500名が参加され運営もつつがなくおこなわれました。どの企画にも、予想を上回る参加者を得ることができ、実行委員会一同は大仕事を終えたあとの達成感にひたりつつ、今はほっとしております。

 富山県支部は、最近では戦後生まれの中堅の会員を中心に運営されております。役員の半数以上が勤務医であり、申し訳ないことではありますが日母産婦人科大会に出席した経験のあるスタッフが皆無にちかく、大会を開催するということは、わたくしどもにとっては光栄であると共にたいへんな難題でもありました。そこで、むしろ前例にとらわれずに我々自身が参加したいと思うような大会を、作り上げようと考え次の3つの点について確認しました。

 一つ目は、誰のための大会にするかということでした。病診連携とチーム医療の大切さが叫ばれている今日、会員だけでなく産婦人科医療を担うすべてのひとに開放された大会であるべきであると考えました。そこで、全国の大学の医局に案内を出しましたし、県内では産婦人科で働くすべての看護スタッフに、また保健所・県庁厚生部などの行政機関にもよびかけ、実際に38名が大会に登録しております。並行して開催された産看学院研修会に参加したのち、翌日の日母産婦人科大会に参加した人たちを加えると、おそらくその2倍以上のコ・メディカルスタッフが席を埋めてくれたものと思います。また、我々の仕事の現実を知ってもらおうと、医学生にも参加を呼びかけましたところ19名の参加がありました。残念ながら、県外の若い先生の参加は、あまりなかったようですが、講師としておいでいただいたある教授から『日母産婦人科大会などというものを私は実は知らなかった。こんな会なら来年からうちの若い者にも参加させますよ』とのコメントをいただけたことは、大変うれしい収穫でありました。また、参加した地元のコ・メディカルスタッフからも、『敷居が高くて入りにくかったが、わかりやすくて内容にも感激しました。すごくよかった。また来年も参加したいが、熊本までは遠くて無理かなー。』との感想をもらっております。今後の日母産婦人科大会が、この様なさまざまな職種の専門家が一つの話題について、一緒に勉強できる会に育っていくことを私は願っております。

 二つ目は、どのようなスタンスで大会を企画するかということでした。全国の先輩方からは、臨床大会であってほしいというご意見をたくさんいただきました。新しい世紀に足を踏み入れ、臨床医として、今後どのような産婦人科医療が展開されてゆくのかということを、前向きに総合的にかつ実地臨床的に勉強する機会を作ろうと決定し、それがプログラムとして結実しました。これは、開業医と勤務医が一緒になって、自由に意見を披露したところから生まれたものです。大会を終わってみて、わたくしどもはこれでよかったと確信しています。

 三つ目は、財政的な問題でした。この不況のなかで財政的にどのように運営するか。“受益者負担を基本にしよう”、“豪華には出来ないが、富山らしく全国の会員を迎えよう”と意見が一致しました。日夜献身的に活動していただいている本部の先生方や全国支部の役員の方々には大変申し訳ありませんでしたが、すべてを自己負担していただきましたし、懇親会や親睦ゴルフ大会も極力参加費でまかなうように工夫しました。おそらく過去の大会のなかでも、きわめて倹約された大会になったものと思います。

 日母産婦人科大会を開催してたいへんでした。これは正直な感想です。全国の皆様から励まされながら終わってみますと、大勢の方からねぎらいと賞賛の言葉をいただき、富山県会員一同、心から感激し安堵しております。しかし、それよりも、いま最もうれしく感じていることは、会員がまさに一丸となって大会の成功のために日夜努力したことであり、その結果すばらしい団結の輪ができたことであります。連日の打ち合わせの会議では、意欲と責任感に燃え、色々な愚見のぶつかり合いが発生し、険悪なムードになることすらしばしばで した。その様な悪戦苦闘の中で、それぞれの考え方や性格や、よって立っている立場の違いなどが、お互いに理解されましたし、世代間のギャップを克服することもできました。このことが、第28回日母産婦人科大会を開催した富山県支部にとって、最もおおきな収穫であったと思います。大会が終わって、『大変いい勉強をさせてもらった』、『こんなすばらしい経験はもう無いだろう』と皆が異口同音に申しております。私どもにこのような機会を与えてくださった坂元会長はじめ本部の先生方、さまざまな声援をくださった全国の会員の皆様に、あらためて心から御礼申し上げます。

 ところで、大会が迫るにつれて一番心配していたことはお天気のことでした。何しろ、我々が実施したツアーは、黒部峡谷と立山アルペンルートの二つでしたが、ともに有数の山岳地帯であり、目的は山の紅葉と雪を見ていただくことでした。当日13日の朝は、大会会場では秋雨が降っていました。スタッフ一同みんながっくりしておりました。『これでは、せっかく遠いところから来てくださったみなさまが、あまりにもお気の毒。きっと寒さに凍えながら、白いガスの中を歩いておられるのだろう』と、暗い気持ちになったものです。ところが、下界の雨空とは逆に、こんなことはめったにありませんが、山では次第に雲が晴れ、紅葉も山頂の雪も姿を現したというではありませんか、大げさに聞こえるかもしれませんが、『天は我に味方せり』と安堵したものです。翌日は大会セレモニーがありましたが、下界の会場近辺でも尻上がりに天気が回復し、閉会時にはすがすがしい秋空に変わっていました。すべてのことに恵まれて、大会がすすんでいきましたことは誠に幸運でした。

 最後に、大会に参加された皆様には、記念品として富山の名産「チューリップの球根」をお持ち帰りいただきました。鉢にでもお庭の花壇にでも、どうか植えてやってください。来年の春に見事な花を咲かせると思います。そうしましたら、富山を思い出してください。皆様のこのたびのご来富が、よい思い出になりますことを祈りつつ、ご報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。