平成13年10月22日放送

 第52回日母臨時代議員会より

 日本産婦人科医会常務理事 清川 尚

 

 去る9月30日東京において、第52回の日母臨時代議員会が開催されました。昨年より監督官庁の指導により、当年度の会計監査報告は当年度に行うようになりました。点呼により代議員69名の全員の出席を確認した後、代議員会議長の開会宣言により、臨時代議員会が開催されました。

 まず、坂元会長の挨拶として、痛みを伴う構造改革が医療の面にも押し寄せ日母としても出産給付金、自費診療、保険診療の枠組みに関する問題、さらには平成16年から開始される医師の臨床研修必須化に伴う産婦人科医療に関わる部分に関して、一段と関係当局への陳情、折衝を国民の声も視野に入れて、行動をしなければならない点を強調されました。日母と日産婦の更なる連携の充実も重要課題の一つです。また、日母は女性一生の健康支援を行う団体として、厚生労働省への母子保健関係予算、とくに

 周産期センターの充実、

 不妊相談センターのより一層の増設、

 周産期医療ネットワークの整備ならびに運営費の補助、

また、現在進められている産婦人科・小児科地域連携事業・・・これはプレネイタル・ビジットとして事業の展開を日本医師会のご協力ご支援で行われているが、厚生労働省も継続事業として、予算確保に努めてほしい旨の要望を行ったことの報告がありました。さらに、

 いわゆる虐待に対する防止や制度の整備等の具体的対策のお願い、

 「子育て家庭への支援」については、子育て中の母親が安心して勤労ができるように駅前保育所・夜間保育所の充実、

 さらには新生児聴覚スクリーニング検査の公費負担事業の本予算化と、聴覚障害児発見時の治療ならびに療育体制の充実の要望、

 妊産婦・乳幼児の健康管理の推進に関して、都道府県・市町村の担当部署への通達の徹底のお願い、

 小規模事業所の母性健康管理電話相談事業の継続および推進の要望をしたことも含めて挨拶の中で述べられました。アメリカのテロ事件について、日本国憲法の前文の一部、即ち「われわれは、いずれの国家も、自国のことのみに専念し他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法律に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる」を引用して、テロに対する仲間同士の助け合いを強調しました。

 引き続き平成13年度日母の上半期の主要事業の報告が各々担当常務理事から報告されました。ちなみに日母の事業部門は9部門、2室でそれぞれの担当常務理事、幹事を中心に事業の展開を行っています。

 平成14年度税制改正等に関する要望書を自民党政務調査会長、組織本部長に提出した事の報告がなされました。主なものは少子化対策への積極的支援と関連事業への減税措置の実施、母子保健事業費、子宮ガン・乳癌検診費用の国庫補助事業への復活、産婦人科医師ならびに母子保健関係医療従事者の減少歯止めへの積極的支援、看護婦・助産婦養成に関わる設備整備費などの補助金の増額や就学資金貸与制度の充実、現行の出産育児一時金のアップ、この出産育児一時金は6年以上も据え置きとなっていて、これも少子化の一因として位置づけている現状があり、出産環境の改善を行う上でも、増額を要望するものです。

代議員会議長より定款第36条2項ならびに定款細則第38条の規定により、第52回日母臨時代議員会内に予算決算委員会を設置する旨の提案があり、質疑後可決され、第37条第2項の規定により、13名の委員が委嘱されました。

 議事に入り、第1号議案として、平成12年度決算(案)に関する件が上程されました。経理担当常務理事より、収支計算書、正味財産増減計算書、貸借対照表および財産目録について説明がありました。引き続いて監査監事より、平成12年度の決算報告書は3人の監事で監査を行い適正であるとの報告を受けました。また、予算決算委員会委員長より予算決算委員会ならびに予備審議会の結果報告があり、収支の適正、予算の執行とその効率、経理業務の経年的データの提示、会費収入の減少の対応策、項目用語の統一などの検討があったことの説明がありました。直ちに質疑応答に入り、原案通り全員賛成の挙手をもって第1号議案は可決されました。

 続いて第2号議案、日母定款の変更に関する件が上程されました。平成4年の代議員会で可決された日本母性保護産婦人科医会の名称から日本産婦人科医会への変更の定款改定に至るその後の経緯、定款改定指導監督基準につき、法制担当常務理事より説明がありました。それによりますと、会の名称即ち日本母性保護産婦人科医会から日本産婦人科医会への名称変更に伴って会員の構成、会員の種別即ち正会員、準会員、特別会員、名誉会員という分類、幹事の職務、代議員の選出方法や任期、代議員会並びに総会や、正副議長の選出、定足数、書面による議決(いわゆる委任状による議決)、支部長会のあり方、事業報告、決算報告、事務局構成等にも監督官庁より指摘があったことの報告説明がありました。質疑応答では、今後は代議員会はなくなり、現在の代議員をもって総会となることの確認がされました。さらに入会規定、一般会員の総会への参加について、特別会計の出納閉鎖の時期などについての質疑応答の後、議決、全員挙手で賛成可決されました。

 続いて第3号議案、日母顧問推薦に関する件が上程されました。日母には日ごろより日母に協力頂いている国会議員を日母顧問に推薦申し上げていまずが、今回先の参議院選挙で埼玉県より立候補し見事当選されました自由民主党の佐藤泰三先生にお願いする事の議案を上程しました。日母には国会議員の顧問として、すでに武見敬三先生、宮崎秀樹先生を日母顧問にお願いしています。第3号議案は満場一致で可決成立しました。

 代議員提出議題は日母の名称変更に関するものであり、既に審議可決されていましたので提出理由の説明がなされ、提案代議員自身が納得されました。

 以上で代議員会は閉会し、休憩の後に総会が開催されました。総会は日母の坂元会長を議長として開催されました。出席者はすべて代議員会出席者で、それ以外の日母会員はいませんでしたので、代議員会で可決された議案を一括上程審議することが提案され、了承、追加質疑もなく、すべて可決され、閉会となりました。以上で第52回日母臨時代議員会ならびに総会の報告を終わりますが、放送の最後に日母の今後の事業展開につきまして述べさせて頂きます。

 9月30日の臨時代議員会後から、日母事務所移転が始まります。現在の事務所は非常に手狭で、会務に少なからず支障があり、移転先を模索していましたが、幸いに現在の事務所の約2倍の広さでしかもリーズナブルな場所がありましたので、理事会、代議員会、総会での了承を得まして、平成13年10月9日より移転します。現在の場所よりさらにJR市ヶ谷駅に近い場所で、今後は理事会、各種委員会も新しい事務所で開催することができますし、時間の制約・場所の確保に追われることもなく、十分な議論審議も行われるようになります。10月6日以降の日母の予定は、富山県での第28回日母産婦人科大会、第22回日母産科看護研修学院卒後研修会ならびに産婦人科看護従事者研修会、さらにIAMANEH(国際母性新生児連合)理事会、日産婦日母連絡会、全国支部医療対策担当者連絡会、がん対策担当者連絡会、12月には日本医師会家族計画母体保護法指導者講習会、全国支部総務担当者連絡会などを予定しています。

 聖域なき構造改革はわれわれ医療界にも波が押し寄せています。骨太で痛みを伴う改革は医療制度改革の試案にも現れています。高齢者の負担金増額、健保三割負担、診療報酬引き下げなど、先が見えない改革が行われようとしています。母子保健の担い手の日母としましても、改革に伴う痛みもありましょうが、生涯を通じたすこやかで安全な生活の支援のための日母活動を私ども役員は肝に銘じて行わなければなりません。

 21世紀の医療提供体制のキーワードは

  「患者さん第一」

  「患者さんの安全」

  「医療の質の向上」

  「医療評価」

  「情報の公開」

  「透明性」 です。

 国民が「自分自身の健康は自分自身で守る」という意識をもち、生涯にわたって健康に恵まれ、明るく生き生きした生活を送れるよう日母としての役割分担の枠組みの中で活動することが、役目と認識しております。会員の皆様のご支援をお願い申し上げます。