骨粗鬆症の治療について教えてください

骨粗鬆症の治療について教えてください

 骨粗鬆症の治療は骨折予防のための治療ともいえますので、食事や運動による生活習慣改善も重要な骨粗鬆症治療法であり、全ての骨粗鬆症患者さんにおいて必須といえます。カルシウムやビタミンD、Kの摂取と痩せ過ぎに注意して、ケガしない程度に重力に抗した運動(ウオーキング等で十分、水泳は不向き)を行うのが良いとされています。理学療法や手術による治療もありますが、限られたケースで行われます。
 ほとんどの骨粗鬆症患者さんは、血圧や脂質異常症などの動脈硬化予防と同じように薬物療法を行うことが多いです。現在、様々な骨粗鬆症治療薬が出ており、どれが自分に適しているか疑問に思われる方も多いかもしれません。治療薬の選ぶ際のポイントを記しますので、これらの情報をもとに主治医の先生と相談するのが一番です。

ポイント1 加齢や女性ホルモン減少という骨折リスクの原因を解消する治療ではなく、将来の骨折を予防する治療薬なので、閉経期から開始しても生涯続けるのがベター(しばらくの間治療すれば十分とはいえず、可能な限り長期間治療するのが効果的)
ポイント2 経口剤、注射剤や毎日、毎週、毎月、半年に1回など、剤型や治療頻度について自分が続けるうえで合っているか
ポイント3 持病等(歯科治療中、血栓症、腎機能障害など)によっては控えた方がよい薬剤があるので、必ず主治医に申告しましょう
ポイント4 重症度(将来骨折するリスクの大きさ)によって、下記の薬剤を使い分けます。
・カルシウム、ビタミンD、K:副作用も少なく他の薬剤と併用することも多いです。
・SERM:選択的エストロゲン受容体作動薬といわれるもので、ホルモン補充療法(HRT)と違い、乳がん発症率も抑えます。
・ビスホスホネート、抗RANKL抗体:中等度の骨粗鬆症であれば、最も頻用されています。
・PTH、抗スクレロスチン抗体:骨折する危険性の高い骨粗鬆症に用いる注射剤です。