不育症について教えて下さい
不育症について教えて下さい
2回以上の流産(妊娠22週未満)・死産(妊娠22週以降)の既往がある場合、不育症と診断されます。異所性妊娠や絨毛性疾患(胞状奇胎)、生化学的妊娠は、流産回数に含めません。すでに出産して子供がいる女性でも、その後に2回以上の流産・死産があれば不育症に含まれます。日本には約3万人の不育症の方がいると推定され、決して珍しくはありません。
不育症のリスク因子を検査し、リスクに応じた形で治療を行うと、次回の妊娠で出産できる可能性が確実に上昇することがわかってきました。図1に厚生労働研究班による不育症のリスク因子別頻度を示します。
スクリーニング検査は、問診で年齢、過去の流産回数、身長・体重・BMI、嗜好品(喫煙・アルコール・カフェイン)を確認します。臨床的な有用性がわかっているものとしては、子宮形態異常の評価、内分泌検査(甲状腺機能)、夫婦の染色体検査、抗リン脂質抗体検査があります。その他にもいくつかの有用性が期待される検査があります。
一般的な原因検索の検査を行ってもリスク因子が特定できない場合は、偶然に胎児の染色体異常による流産を繰り返している場合が多く、治療を行わなくても、その後の妊娠で出産できる可能性が高いと言われています。これまでの流産や検査結果について十分な説明を受けた後、次回妊娠への不安を少なくしてから妊娠に臨みましょう。
流産を繰り返すと、誰もが、正常な反応として気持ちの落ち込みや不安を感じることがあります。医療的な情報提供を含むサポートが次の妊娠につながる可能性があります。まずは早めに産婦人科医を受診し、相談されることをお勧めします。
また、各地方自治体では、不育症の相談窓口や不育症の公費助成を行っているので、お住いの市町村のホームページなどが参考になります。
参考資料:AMED 研究 不育症の原因解明、予防治療に関する研究を基にした不育症管理に関する提言 2019 厚生労働省研究班 – 不育症研究ホームページ