4.一般超音波検査と精密超音波検査

 妊婦健診での超音波検査。毎回同じことをやっていませんか?
前章で述べたように、何のための超音波を考える第一歩として、妊婦健診中に行われる週数ごとの超音波検査の位置づけは大切です。今回は大きな枠組みである、一般超音波検査と精密超音波検査について話します。

一般超音波検査
 通常の妊婦健診で行っている超音波検査のことです。推定体重を測ったり、羊水量や胎動などを見ることです。胎盤の位置の確認や、子宮口の状態などの確認もこの範疇に入ります。目的は、胎児発育の評価、well beingの評価、前置胎盤や切迫早産徴候の確認などが目的となります。

精密超音波検査
 一方、胎児の先天的な形態異常などを確認する超音波検査を精密超音波検査といいます。施設によっては、胎児形態スクリーニング、胎児エコーなどとよばれるものです。
 最近では、妊娠中期以降に、多くの施設で何らかの形で行われているかと思います。チェックリストを用いて、確認することが望ましいとされています。先天的な形態異常は妊娠中に大きく変化することは少ないので、妊娠中期以降に1-2回時間をとって確認をします。チェック項目が多いことや、より細かいところを確認するため、それなりにプラスアルファの超音波検査の技術が必要です。そのため、通常の妊婦健診とは別に時間をとったり、得意な医師や検査技師などが検査にあたったりします。

 チェック項目は、大脳、小脳、顔面、心臓、肺、肝臓、胃腸、腎臓、膀胱、外性器、骨格、四肢、臍帯、胎盤など、胎児の頭のてっぺんから足の先まで、子宮や胎児付属物まで多岐にわたります。


 私は、精密超音波検査をうける妊婦さんに、
 「この検査では、全てではないですが、赤ちゃんが生まれてすぐに治療が必要になるもの、ならないものまで、形態異常の有無を知ることができます。妊娠中にそういった異常の有無を確認することで、生まれた赤ちゃんを助けるための準備、心構えができることもあります。」
などと説明するようにしています。