21. 胎児の形態異常(腹部)

腹部のチェックは、ACを測る断面で胃胞の確認をします。ACの断面から胎児尾側にスライド(スライス方向への移動)し、腹壁、臍輪部や膀胱を確認し、臍帯動脈が2本であることの確認を行う。矢状断では横隔膜、肝臓、胃、膀胱などの位置関係、腹壁も観察する。冠状断か矢状断に平行の断面で左右腎臓を確認する。

腹壁・臍輪部の異常

腹壁・臍輪部には異常が起きやすいです。臓器が脱出していれば腹壁破裂、嚢胞状に突出するものがあって、内部に臓器を伴っていれば臍帯ヘルニアと考えられます。内部エコーがない嚢胞である場合、尿膜管嚢胞(遺残)や臍帯嚢胞の可能性を考えます。

腹腔内の異常

 腹腔内の異常として気づかれやすいのが嚢胞状の病変です。腹腔内で嚢胞状エコーを呈する異常は、十二指腸閉鎖、総胆管のう腫、副腎のう腫、卵巣のう腫などである。周辺臓器との位置関係を確認して診断します。
 これらの嚢胞状エコーは、胎児形態異常のスクリーニングが行われる時期よりもあとの妊娠中期、末期に出現することが多く、スクリーニングで発見されるよりも、妊婦健診で偶然みつかる場合が多いです。
 小腸・大腸などの異常も嚢胞状エコーを呈する場合がありますが、正常か異常化は出生後まで判断が難しい場合も少なくありません。

十二指腸閉鎖:妊娠中期・末期にこのようなdouble cystを認めた場合、その可能性が高い。ダウン症候群との関連も高く、遺伝カウンセリングが必要である。

胎児卵巣のう腫:妊娠末期の女児の下腹部に嚢胞状エコーに気づき診断されることが多い。膀胱とは別の嚢胞であることなどを経時的にみて判断する。胎内や出生後、自然消失するものが多いが、まれに捻転を起こし手術を要することもある。