1. 正しい計測が超音波上達の秘訣

正しい計測が超音波上達の秘訣
産婦人科で超音波を習うとき、最初に教えられるのは胎児の推定体重ではないでしょうか。日常臨床で最もよく使う、基本的に必要な情報であるからだと思います。そんな誰もが測れる胎児の3計測なのですが、超音波検査の基本技がたくさん詰まっているのです。私も、超音波を習いたいという若手の先生に教え始めるときには、まず推定体重を測ってもらうようにしています。それを見ているとだいたいの腕前がわかります。今回は、その最初のポイントをお話しします。

基本技その1:見たいものが真ん中にあるか?

超音波検査はプローブを動かしているときは、なんとなく残像で、頭の中で立体をイメージして何を見ているのかが分かるのですが、その一コマ、一断面を写真にすると、よくわからないことがあることを経験しませんか? 撮った写真を妊婦さんにあげても???な感じになることってありますよね。まず、何をみるのかを決めて、被写体を真ん中にもってくることを心がけましょう。当たり前のことですが、それがいかにスムーズにできるかが鍵です。偶然その像が得られるのではなく、最短の腕の動かしで、ピタッと見たいものを真ん中にもってくる。超音波画面から目を離さず、プローブがぐるぐる迷わず、目的まで瞬時にいけるかが腕の違いです。そのための第一歩として、「対象をスムーズに真ん中に入れる」を実践しましょう。

基本技その2:ちゃんと拡大しているか?

見たいものが真ん中にあっても、小さかったら何を見ているかわかりません。また、いくら推定といっても測定ですので、それなりの誤差をなくす努力が必要です。小さなものを測るときは拡大して測らなければ誤差が大きくなります。推定体重は3つのパラメーターの掛け算、足し算です。ひとつひとつきっちり測りましょう。

基本技その3:正しい断面か?

超音波はCTやMRIのように、3次元のものの一部の断面を切り取って2次元で表現するものです。超音波でみているものに異常があるのかないのかを判断するためには、正しい解剖の知識だけでなく、自分がみるべきスライスで切っているかが分かっていなければなりません。推定体重を求めるために測る正しい断面は、それぞれひとつしかありません。まずは、正しい断面ひとつずつ確認、実践することからはじめましょう。