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■こどもの預け先、どうします?


  • 大切な可愛いこどもを他人に預けるのは勇気が要ることです。仕事の間、こどもが楽しく過ごせる環境を 確保することは、安心して仕事をするうえで何よりも重要なことです。
  • 父母や義父母など身内に預ける場合は「可愛い孫なのだから見てくれて当然」とせず、負担になっていないか配慮し、安全に保育してくれることに感謝しましょう。また、保育方針が世代で異なることがあるので気になることがあればお互いに話し合うことが必要です。
  • 保育園のニーズは高まっていますが施設が不足しており、地域によっては入園がとても難しくなっています。こどもがほしいと思ったらまず地域の状況を調べ、希望どおり入園できない場合の対策も考える必要があります。
  • 地域の保育施設の空き状況は役所の窓口やネットなどで調べることができます。無認可保育園や保育ママなど認可保育園以外の情報も必要です。
  • 保育施設に実際に見学に行き、施設までの交通の便や保育時間を調べ、保育スタッフや園児たちの様子を自分の目で見ておくことが大切です。


■認可保育園とは

  • 設備や保育士の人数などが厚生労働省が定める一定の基準を満たし、都道府県知事の認可を受けている保育施設のことを指します。
  • 認可の基準としては、調理場があること、8時間保育を実施すること、避難経路が確保されていること、アルバイト職員は全体の2割以下などで、基準を満たせば認可されて国や自治体から運営費の助成を受けることができます。
  • 認可園の多くは市町村立など公立保育園ですが、社会福祉法人など私立保育園もあります。公立も私立も認可であれば入園の方法や保育料などは変わらないのが一般的です。保育料はこどもの年齢、世帯納税額によって決まります。


■無認可保育園とは

  • 無認可(認可外)保育園とは役所の認可を受けていない保育施設です。
  • 院内保育園や駅前保育施設などはほとんどの場合無認可保育園です。
  • 東京都の認証保育所など、国の認可基準は満たしていないが、自治体が独自に決めている基準には達していて、自治体から助成を受けて運営されている施設もあります。
  • 自治体の財政援助が乏しいため保育料は高めです。
  • 無認可施設には、規模が小さいなどで認可基準に達しないが、手作りおやつや弾力的な保育時間対応など認可施設に優るほどの内容の保育を行っているような園もあれば、設備が不十分だったり職員の目が届かなかったりして事故に至るなどの園もあり内容は様々です。


■認可保育園に入れなかったら

  • 認可保育園に入園を希望していても入園できないことが少なくありません。とくに自営、アルバイト、非常勤、祖父母が同居・近所にいる、などの場合には入園審査でポイントが低くなりますし、家庭の収入が多い場合は入園順位が下がり、より保育状況が厳しい方が優先となります。
  • 認可保育園の空きを待っている間は無認可保育園や保育ママ、ファミリーサポートセンター、ベビーシッター、あるいは身内のサポートなどを利用します。
  • 入園まで待機する場合、自宅で自分が保育するよりも、無認可保育園などを利用し働きながら待つほうが認可保育園への入園がしやすい場合があります。
  • 年度途中で入園できない場合でも、4月になると卒園や転園が多数あり、入れ替わるため入園しやすくなるのでこの時期まで空きを待って入園する場合もありますがそれも難しいこともあります。
【保育園探し】
自宅から通えるいくつかの園で検討しました。
Aさん

自宅から通えるいくつかの園で検討しました。ある園ではお昼休みに見学に行ったところ、保育士さんたちが職員室でそれぞれ何か書類に記入(保育日誌をつけていたのかもしれません)していました。どうぞ自由に入って見ていってください、とだけ言われましたので園庭や保育室などを見てきました。
別の園ではやはりこどもたちのお昼寝の最中でしたが保育士さんたちがこどもたちのそばにいて、寝付けない子の小さな背中をなでてあげたりそばで見守っていたりしていました。見学も一緒に説明しながらで、私が帰るときには入園できるといいですね、と言って門の外で姿が見えなくなるまで手を振ってくれました。
私は迷わずこの園を選びましたが、四季折々の行事を通じてこどもの育ちをサポートし、大きい子は小さい子を思いやるように声がけし、すばらしい園でした。父母会活動も盛んで子育て講演会を開いたり、運動会のお手伝いをしたりで大変でしたが他の保護者たちといろいろ話をし、異業種交流にもなり世間が広がったように思います。父母会の役員も回ってくるのですが、園のこともよくわかり、学校と違って休日や夕方などに活動があるので積極的に引き受けました。

院内保育園を利用し、年度途中で認可保育園に転園しました。
Bさん

認可保育園のことをよく知らなかったのですが、院内保育園があったので利用することにしました。保育士さんは自分の母親くらいの年配の方2名で、他にアルバイトが数名でした。院内なので園庭はなく天気のいい日には近くの公園にベビーカーでお散歩に連れて行ってくれました。たまにお散歩帰りのわが子をみかけるととても嬉しく、でもなんとなく切ない気持ちになりました。園児の人数も少なく、0歳から2歳までの低年齢児のみで静かな家庭的な保育園でした。
1日2回、授乳時間というのがあり、空き時間があれば母乳やミルクをあげることができ、園で作ってくれた離乳食をあげたりすることができました。しかし忙しくて行けないことも多く、保育士さんに代わりをお願いしていました。ただ、看護師さん向けの園だったのでその他の職員は9時から4時のみしか利用できず不便でした。保育料は低年齢でしたし、無認可のため高めでした。また、保育時間が短く常勤で働くには二重保育が負担なため、年度途中で認可保育園に空きができたのでそちらに転園しました。

なんとか私立認可保育園に入園できました。
Cさん

第1希望の園ではなかったのですが、なんとか私立認可保育園に入園できました。認可保育園では申し込みをしても入園が決定するまでかなり時間がかかるため、入園できるかずっと不安でした。役所の福祉課から電話がかかってきて、6倍の高倍率であるといわれましたが、産科医療の現場になるべく早く復帰しなければならない意思をあらためて担当者に強く伝えました。
園は家から遠く、車も停めにくい場所で子連れでの通勤には不便でしたが保育時間も弾力的で大変助かりました。園の門から入り口までらせん状の階段があってこどもをだっこし、ベビーカーを持って上り下りが大変でした。園の立地や構造などもあらかじめ調べておくとよいと思います。また、バザーがあって親が店番を交代で務めたり、焼きそばを作ったりで楽しかったのですが時間のやりくりをしなければなりませんでした。
産休明けで0歳児から受け入れできる園なので人気がありましたが、最近は育休明けでの入園希望の方がどの園でも多く、1歳児はどこも空きがなく入園できない方もいるそうで、0歳から入園して良かったと思いました。3歳からは幼稚園に移る方もいるので3歳児以降はまた多少空きが出やすくなるそうです。入園できずに無認可園を利用しながら空きを待っている同僚もいます。

3歳児クラスから他の保育園に転園しました。
Dさん

それまで利用していた園が2歳までだったので、3歳児クラスから転園しました。3歳時から5歳児クラスになると幼稚園に通う年齢になるため、保育内容もお昼寝をして室内で遊んでいるだけでは物足りなくなって外遊びや散歩、園外保育が増えます。また室内でも工作やお絵かき、折り紙などをしたり、秋の発表会で劇や楽器の演奏をしたり内容が豊富になります。保育園だと幼稚園よりも教育の要素が少なくなるのではと心配していましたが、体操やリトミックの先生が園に教えに来てくれたり、鍵盤ハーモニカを教えてくれたりで、夏はプール遊びもできました。しつけにおいても、トイレトレーニングや、パジャマのたたみ方など保育園でも教わったことも多く(もちろん家でも教えますが)友達もやっているから自分もやろう、という気にさせられて上達が早かったです。
保育園だと小学校受験に不利なのでは、と思われていますが、私立小学校に入学している子も毎年何人もいます。異年齢のこどもたちとの集団生活なので、けんかをしたり、かみついたりいろいろなトラブルはもちろんありますが、自分より小さい子を思いやり、お散歩のときには手をつないで歩道側を歩かせてあげるなど優しい気持ちが育くまれてよかったです。



【ベビーシッター探し】
面接を通して、安心できる会社か確認しました。
Fさん

実家の母の体調が悪くなり、保育園のお迎えやこどもの病気の回復期などにシッターさんを頼むことに。実際にシッターさんを利用していた友人に紹介してもらった会社に電話したところ、あらかじめ面接できると聞き、一度シッターさん本人に事前に会ってみることにしました。50代の自分の母くらいの年齢でとても優しい雰囲気の方で自分のこどもが2人、もう大きくなってしまったので寂しくなり子ども好きのためシッターをしているとのこと。早速お願いし、週2回手術日の保育園のお迎えにレギュラーできていただいています。そのシッター会社では定期的に研修を行い、バイト感覚でなく子どもが好きな方を採用しているそうです。安心できる会社を紹介してもらって良かったです。

取り決めを話し合い、マニュアルを作成しました。
Gさん

保育園の保育時間が夕方7時までなのでお迎えはシッターさんにお願いしています。最初は他人が家の中に入ることにとても抵抗がありました。実はとても散らかっていたので。でも立ち入っていただくお部屋をいくつか決めて、その部屋だけはとりあえず整理して使えるようにしました。また、シッターさんとあらかじめいろいろと取り決めを交わしておき、マニュアルを作って、他のシッターさんに代わってもわかるようにしました。たとえば電話がかかってきたときや宅急便など訪問があったときの対応、おやつの内容などです。家のカギも預かっていただいて、園のお迎えから帰宅したときに家に入れるようにしています。発熱など急に園にお迎えに行かなければならないときも連絡してお迎えを代行して私の帰宅まで家で子どもをみていただいたのでとても助かりました。

まずはベビーシッターの会社に電話をしました。
Hさん

ベビーシッターの会社は本当にたくさんあります。その中でどれがいいのか、選別するのは大変でした。まずはとにかく各会社に電話をしてみることだと思います。可能であれば、ビジター、トライアルという形で利用してみて、あとは会社のシステムや、シッターさんに関して一番自分やこどもに合ったところに決めていくことになります。
専任のシッターさんをレギュラーで希望する場合は、コストが高くなることがあります。専任制をうたっている会社は入会金や年会費が高かったり、時間あたりの費用が高かったりしますので会社に問い合わせてみるとよいです。また事前のシッターさんの面接にもコストが発生します。だいたい1時間1500円+交通費+時間外であれば時間外料金、が目安です。

朝早くに来てくれるシッターさん探しは大変でした。
Iさん

保育園までの朝の送迎のため朝早く来てくれるシッターさんを見つけるのが本当に大変でした。シッターさんのほうも自分のこどもがいたり、夫を会社に送り出したりする場合があるので朝は予定がつかない方が多いそうです。夕方も時間帯によっては来られるシッターさんが見つかるのに時間がかかることがあり、手配がつくのかドキドキすることもあります。数日前に予約している場合と異なり、前日や当日に依頼すると加算料金がかかる会社が多いです。

多様なニーズに応えられて、比較的営業時間も長い会社を選びました。
Jさん

朝起きて熱が高くて急に保育園に行けないときなどが大変で、夫とどちらが休みをとるか、遅刻するかで口論になることもあります。
当日予約も可能とうたっているシッター会社は多いですが、一般的には営業開始時間が9時から10時なので、それまでは身動きがとれません。そのため、前日から体調がすぐれないときは、コストを払ってでも(次の日は熱は下がっているかもしれませんが)保育園は休ませると決め、前日からシッターさんを手配しておきました。一日フルに依頼すると2万円前後かかります。また、会社によっては、熱が何度以上あったらダメとか、投薬はダメとかの制限があるところがあります。病児、病後児はお断りというところもあるので、あらかじめ多様なニーズに応えられて、比較的営業時間も長い会社を選ぶといいでしょう

自治体が運営するファミリーサポートは地域密着型です。
Kさん

最近は、地方自治体が主体となって、子育てをサポートするファミリーサポートなどがあります。近所の子育て経験者などが保育してくれるためプロのシッターさんではないので民間のシッター会社よりはコストが比較的安いです。自治体に問い合わせをするか、ホームページをみてみるとよいでしょう。検索するときは、「子育て支援」「子育てサポート」「ファミリーサポート」などがキーワードです。
 財団法人女性労働協会のホームページ http://www.jaaww.or.jp/service/family_support/index.html
このサイトで利用する場合、自宅から近いシッターさんがきてくれることが多いです。民間のシッター会社では交通費は利用者が全額負担のため、比較的遠くからの派遣では交通費がかさむことがあります。しかし、近所の方だと家に上がるのは気兼ねがある、という場合もあり、あくまでも考え方でしょう。

事務がしっかりしている会社を選びました。
Lさん

会社を選ぶときには事務がしっかりしているかが大切です。保育をお願いする日時や送迎する場所など、業務の内容がちゃんとシッターさんに伝わってきちんと遂行されるかです。通常は依頼すると、派遣されるシッターさんの名前やプロフィール(年代や資格など)について事前に連絡があり、前日に本人から確認の電話があります。そうすればシッターさん本人と細かい打ち合わせができて安心して任せることができるわけです。でも、会社によってはシッターさんの名前すら事前に連絡がなかったり、送迎場所や時間を間違えたりすることがありとても困ってしまいます。そういう会社とはすぐ契約を解除しました。

同じ会社でもいろいろなシッターさんがいます。
Mさん

この人なら安心、というシッターさんに出会えるといいのですが、同じ会社でもいろいろな方がいます。若くても気が利いてよく世話をしてくれる方もいれば、子育て経験あり年配でも話が通じにくい方や、自分の意見を押しつけてくる場合もあります。また、シッターさんには原則として(子供の安全にかかわるという理由で)料理も含め家事は頼めない契約なので、子供の食事の準備は親がしておかなければなりません(ただ、個人契約だとやってくれる場合もあります)。
困ったシッターさんでは、親が帰宅しインターホンを鳴らしても何の反応もなく、黙って帰り支度をしており、子供の状態について何のコメントもせず無口で帰った方がいました。子供にただテレビやビデオを見せているのは論外ですが、親に渡す保育記録を細かく書くことに時間を費やして肝心の保育がおろそかになっている場合もありました。もちろん楽しく遊ばせてくれて、子どもがまた会いたいというほどよく懐き、またお願いしたいような方もいます。
小学生になると学童シッターといって親が帰るまで宿題や翌日の時間割の準備など生活習慣をサポートしてくれるサービスがあるのですが、ただ楽しく遊んで時間を過ごしているだけだとがっかりします。こどもの生活を親代わりに支えるという親のニーズを理解して仕事をしてくれる方がいいですね。

なるべく固定したシッターさんが来てくれる会社を選びました。
Nさん

ある程度固定したシッターさんが来てくれるというのも会社選びのポイントです。毎回人が変わり、1年で数十人のシッターさんが来たときもあり、3,4人の固定の方を派遣してくれる会社に変えました。合わない人がいれば違う人を派遣もらうことができますが、逆によい人が何回も来てくれて子供も懐いていたのに、突然会社の都合で来なくなり、子供がいつ来るか来るかとそのシッターさんを待って切ない思いをしたこともありました。
会社契約でなく個人で雇用する場合では固定した人にお願いできますが、事故やトラブル発生時の対応が難しく、またシッターさんの都合(病気など)でキャンセルになっても代わりを派遣してもらえないという欠点があります。

費用の問題は大きいです。
Oさん

費用の問題も重要です。時間あたり2000円位で1回3時間の利用から、というのが標準的ですが保育園の費用と合わせると給料の半分以上が保育関連に費やされてしまいます。こどもが病気がちだったりお休みが多くて頻回に利用したときには月50万円近くかかったこともあります。子ども手当もいいですが、実際に仕事を続ける上で必要経費である保育料を税金控除の対象にしてほしいと思います。キャンセル料も前日50%、当日100%など会社によって違います。当日手配料金2000から3000円を追加で払えば可能な限り手配してくれるところもありますが、前日や当日には手配は無理と断られる会社もあります。
保育園から自宅まで、あるいは学童から習い事などで送迎のみの場合でも1時間ほどの業務に3時間料金の支払いを要求されるところもあります。なかには送迎というオプションで短時間の場合には多少料金が低くなるように設定をしている会社もあります。
病気時の対応でも、会社によっては体調がよくても薬も一切飲ませてくれないところから、38度程度の発熱があっても全身状態がよければ可、など対応が違うので注意が必要です。伝染性の感染症に関しては、免疫のある人を頼むこともできますが、確実な手配は難しいところがほとんどです。

何十年にもわたるキャリアを続けるためにシッターさんを依頼しています。
Pさん

医局の同僚には子どもの世話を実家に頼れる人もいて、シッターさんを頼んだことはないそうです。でも、時間外で仕事はできないといって夕方の医局カンファレンスや症例検討会には出席せず帰っていきます。もちろん当直は免除です。本当にやる気があるのか、と同じ子育て中の者として情けなく思うこともあります。私自身は核家族ですが、シッターさんにお金を払ってでも責任をもって当直や時間外の勤務もやってきました。他人に子どもを預ける、任せるということができないと結局自分の自由度が減り、できる仕事は限られてしまいます。
シッターさんを頼むには初め勇気が要るかもしれませんが、仕事を途中で中断したり、帰りの時間を気にしてそわそわする、というストレスから解放されて安心して仕事に専念できます。コストが高く感じるかもしれませんが、ほんの数年、せいぜい10年程度のこと。職場でも引け目を感じずに、その後の何十年にもわたるキャリアを続けることができると考えればけっして無駄ではないと感じます。
もちろん子育てを優先したいという考え方もあっていいとは思いますが、やりくりしてでも仕事を頑張ろう、という人も多いはず。そういう人たちがもっと無理なく仕事を続けられるシステムが必要だと思います。

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