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■小1の壁、小4の壁

 こどもが成長すれば手間がかからず楽になると思われがちですが、実は小学校に入ってからまた新たな問題が出てきます。
 小1の壁といって、小学校に入学してからすぐに出てくる問題があります。小学校低学年の頃は学童保育を利用する場合が一般的ですが、学童保育は保育園より開所時間が短いことが多く、給食がないときにはお弁当が必要なことが多い、など保育園よりも預けることに不安や困難を伴うことがあります。
 また、小学校は下校が早く、夏休みなど長期休暇もあり、その間のこどもの過ごし方、習い事、塾、友達づきあい、などが働く親として気になるところです。PTAの役員なども仕事があるからといって免除になることもないことが多く、授業参観などの学校行事が平日の昼間にあることがほとんどであり、勤務との兼ね合いにはさらに工夫が必要になります。
 高学年になってくるとまた新たな問題があります。中学受験のために親の手がかかるためで、小4の壁ともいわれます。塾に通わせるためにお弁当をもたせる、宿題をみてあげる、模擬試験会場への送迎など親の手間は増えます。こどもの教育に熱心な場合は、この時期に自分の仕事をセーブするために退職、転職することも多く、勤務継続の新たなハードルとなります。



【学童期になってから】
限られた時間の中で子どもの勉強をみるようにしました。
Aさん

 妊娠がわかったとき、体調が悪いとき、産休明け、育休明けで復帰しようと思うとき、さまざまな局面で、もっと時間のゆとりのある仕事に変わろうか、退職しようか、と何度も迷いました。それでも何とか保育園に預けて常勤でがんばってきました。医師である義父母から、将来は孫は医学部に行かせるのだからしっかり勉強をみてやりなさい、といわれて・・・結構プレッシャーでした。他科の同級生は常勤から非常勤にかわり、幼稚園や塾に車で送迎して私立の小学校に合格させました。私は、保育園時代には通信教育の教材を使って、帰宅後に楽しくトイレトレーニングや遊びのルール、文字などを教えました。時間の制約がありましたが、子どもも通信教材が来るのを楽しみにしていましたし、送迎がないので負担になりませんでした。
 小学校低学年では引き続き通信教材で教科書に沿った予習復習や漢字・計算ドリルなどを毎日少しずつ学童保育でやってくるように持たせ、家で丸付けをして、できたらほめてあげるようにしていました。それでもやってこない日も多かったのですが・・・。高学年になると学童保育がなくなるので親が帰宅するまでの時間に余裕ができたので塾に通わせました。友達もでき、よい意味での競争にもなってやる気がでたようで、第一志望の中学に合格できて私も とても嬉しかったです。

保育園から学童保育へ通うようになると・・・
Bさん

 小学校に入れば保育園よりずっと楽になると思っていましたが、新たな問題が・・・・卒園しても3月31日までは保育園に行けるのですが、4月1日になったとたん新たに学童保育に通うことになります。保育園は朝早くから夕方も遅めの時間まで利用できるので、フルタイム勤務をカバーできますが、学童保育では時間が一般的に短く、朝は9時、早くても8時半からですし、夕方も5時か6時で終了するところがほとんどです。朝、親が先に出勤してから、あとから子どもが一人でカギを閉めて学童クラブへ行くことが初めのうちはとても心配でした。何回か一緒に練習させてみました。通学路や学童クラブまでの道も一緒に歩いて危険な所や車の通りの多い所などに注意するよう言い聞かせました。そのうち行き帰りも一人でできるようになり、子どもも自信がついたようで、「ひと回り成長したな」と嬉しく思いました。最近は治安も心配なので防犯ベルを持たせています。

お弁当作りを楽しむ
Cさん

 学童保育では給食がないところがほとんどで、学校の給食がない日や夏休みなどにはお弁当を持たせなければなりません。朝、出勤で忙しいときにお弁当まで作るのはとても大変でした。前日の夕食の材料を一部お弁当用にとっておき、夜のうちに下ごしらえをして、朝に温めるだけにしておくと早いです。疲れて余力がないときは冷凍品も一部利用しています。そのうちお弁当作りは負担でなくなり、今では彩りよくおかずが並ぶと達成感があり、楽しみになっています。
 高学年になると塾に行くためのお弁当作りも必要になります。夕食分を朝作っておくので傷まないよう工夫しなければなりません。おかずを作ってすぐに保冷剤を乗せて冷やし、冷蔵庫に入れておきます。塾に行く前に冷蔵庫から出してレンジで温め、タイマーで炊いたご飯を少し冷ましてお弁当箱に詰めるよう息子に言いつけました。高学年の子なら教えればできるようになります。当直の時には2日分のお弁当が必要なのでメニューを工夫して飽きないようにしました。
 中学、高校になると学校で必要になるのでお弁当作りは毎日になり、運動部でよく食べる子ならそれだけ大きなお弁当箱になり詰める方も大変です。中高生になるとあまり話もしなくなるのですが、帰宅して弁当箱が空になっていると、「元気で一日過ごしたのだな」と安心できます。お誕生日やイベントの時には、少し豪華に作ってあげて、我が家ではお弁当は親子のコミュニケーションのひとつです。
 どうせ毎日のことなら負担に思わず、楽しんでしまうのも長続きの秘訣かもしれません。

子どもの習い事
Dさん

 働いていても子どもの教育には手を抜きたくないと思っています。
 親が忙しいから子どものしつけや教育に手が回らなくて・・・とは思われたくなかったので、小さいときからスイミングやピアノなどを習わせました。習い事をさせるのは実はとても負担です。送り迎えを自分ができないのでシッターさんにお願いする分、月謝と保育費が二重にかかります。それでも自分が子どもの教育のために仕事をセーブしなくとも済むし、子どもの方も親から習い事についてあまり口うるさく言われないので、かえってお互いにハッピーかなと思っています。いろいろ習い事をさせても興味が持てず長続きしないものもあります。親があまり熱くならず、子どもの可能性を広げてあげるつもりで、体力作りと楽器が少し弾けるようになったらいいな くらいに私は考えています。

受験では、悔いの残らないように子どものサポートを!
Eさん

 小学校受験や中学校受験は高校や大学と比べて親が手をかけなければならない部分が多く、塾の宿題やテストを親がチェックしたり、成績やスケジュール管理、受験情報の入手、模擬テスト会場への送迎、入試の手続きや体調管理などマネージャーのように活躍しなければならず思いのほか負担です。子どもが自分だけでしっかり勉強してくれることはまず期待しにくいからです。お金を払って塾に行かせておけば何とかなる、と思っていたら実力がほとんど伸びていないことも少なくありません。テストや宿題の状況をできるだけみてあげて、間違えた所を繰り返し復習させるなど手間をかけないと効果が上がりません。この役割をフルタイムで働きながら行うには休みの日など自分の時間をかなり犠牲にしなければなりませんでした。
 休日当直などで学校説明会などの行事が重なってしまうことを考え、ネットで学校や受験についての情報を入手し、学校見学なども早めの学年からスタートするなど段取りも工夫するといいです。6年生のときには入試の時期にまとめて休暇を取れるよう夏休みを返上して2月に休暇をずらしました。
 自分もゆとりをもって臨むことができて良かったです。自分が受験するわけではない のですが(笑)。

子どもの学校行事に行く方法
Fさん

 学校の授業参観や懇談会などの行事は平日の昼間なので、外来や手術を代わってもらってまで参加するのは気が引けて、なかなか行けませんでした。子どもも「どうせ来ないんでしょう」とすねてしまい、何とか少しでも行ってあげなければと思っていました。しかい、人手が足りず、子どもの学校行事でお休みするなんてとんでもない、という雰囲気の病院にいました。
 別の病院に異動になったのですが、そこは医師の人数が多く交代勤務制をとっています。夜勤明けはしっかり休みがとれるので、学校行事のあるときには前日に夜勤を入れて、心おきなく学校に行けるようになりました。夜勤が忙しかったときは、明けもそれなりに疲れは残りますが、それでもいちいち休みを取りたいと申し出なくても済むのでストレスはぐっと減りました。ここの病院なら常勤でも安心して子育てしながら働けそうです。

PTAには できる範囲で参加しましょう。
Gさん

 働いているから、といって学校のPTAの役員や学校行事の手伝いを全くしない、というわけにはなかなかいきません。平日の昼間に仕事をやりくりして学校に足を運ぶのは実際難しく、いつも4月になるとどうやって役員を引き受けずに済むか、困っていました。最近は『産科医は大変だ』とマスコミで報道されているせいか、「お宅はお忙しいでしょうから」と気を配っていただけるようになりましたが、できることはなるべく協力するように心がけてきました。年間を通した役員業務でなく、一日だけのこどもまつりのお手伝い、運動会の見回り当番などは積極的に引き受けて参加しました。それでも運動会の途中で重症患者が急変して病院に行かねばならず、夫と交代したこともあります。でもやってみると他の親御さんや先生といろいろお話ができますし、子どもたちの様子も身近で見られて、面白かったです。子どもも今日は自分の親が当番をやっている、と嬉しそうでした。自分は忙しいから全く無理、というのではなく、できる範囲で参加してみるといいですよ。

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