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(2005.09*up)

チャイルドシートの使用に関して

日母医報平成11年11月号「情報アラカルト」より

  平成12年4月より道路交通法が改正される。その中に産婦人科医としてぜひ知っておいていただきたい、チャイルドシートの現状について述べる(平成11年9月28日現在)。自動車乗車中の死亡者数や死傷者数の年次推移は、全年齢のそれらと比較して、6歳未満の年齢層で相対的に多くなっている。過去の事故からチャイルドシート着用群と非着用群とでは、着用群が両者ともに圧倒的に低いことが判明した。この事実から、チャイルドシート装着の義務化が叫ばれ、今回の改正道路交通法の中にこの項目が追加された。
 道路交通法第71条の3 4 自動車の運転者は、幼児用補助装置を使用していない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。さらに、違反者には1点付加という罰則が設けられている。
 除外項目として、シートベルトを適切に着用できる座高の幼児にシートベルトを着用させたとき、傷病、障害の治療上や健康保持上、使用が適切でない幼児を乗せる場合、構造上チャイルドシートを固定することができない座席に幼児を乗せた場合、固定できるチャイルドシートの数を超えた幼児を乗せる場合、著しい肥満などの身体的理由により、チャイルドシートを適切に使用させることができない幼児を乗せる場合、授乳やおむつ換えなど、日常生活上欠くことのできない世話を行うとき、応急救護のため、医療機関や官公庁などに救急搬送する必要がある幼児をその搬送のため乗せる場合、がある。

<チャイルドシートの種類>

  乳児用・幼児用・学童用に大きく分類される。
 乳児用ベッド(記号N):乳児を寝かせた状態にして保護する。装置は車のシートベルトにより固定する。10kg未満(使用対象者の体重範囲;W1と表示)。車の進行方向の横向きに設置する。
 幼児用シート(記号Y):幼児を座らせた状態にして、装置を構成する衝撃緩和材、補助シート、ベルト等で保護する。装置は車のシートベルトにより固定する。10kg未満(W1)、9 −18kg(W2)、15−25kg(W3)、22−36kg(W4)があり、さらに兼用タイプもある。W1タイプは後ろ向き、その他は後ろ向き、前向き両者の兼用タイプがあ る。
 学童用シート(記号G):学童を座らせた状態にして、補助シート等によって上体 を上方に位置させ、車のシートベルトが適切に着用できるようにして保護する。学童を車のシートベルトにより直接保護する。15−25kg(W3)、22−36kg(W4)があり、 さらに兼用タイプもある。前向きに装着する。

<チャイルドシートの規格>

 運輸省の安全に関しての規格(型式認定または型式指定)、ECE規格(ヨーロッパ) 、FMVSS規格(アメリカ)、この3つのいずれかに適合しているものをチャイルドシー トとする。

<チャイルドシートの使用上の注意事項>

 乗車する子供の体格(体重)に合ったものを選ぶこと。チャイルドシートのベルト の取り付け位置等を子供の体格に合うように調節し、シートベルトで正しく固定して 使用すること。エアバックの付いている自動車で使用する場合には、できるだけ後部 座席に取り付けること。やむを得ずエアバックの付いている助手席で使用される場合 には、座席を一番後ろまで下げ、前向き用チャイルドシートを必ず前向きに取り付け ること。子供をチャイルドシートに座らせ、そのベルト等を正しく着用後、バックル 等が確実に差し込まれていることを確認すること。必ず保護者の同乗の下で使用し、 子供を乗車させたまま自動車から離れないこと。

<衝突実験装置>

 チャイルドシート供給会社は日本に14社あり、輸入5社は全て本国に持っており、 国産でも3社が実験装置を持っている。しかしながら、実際に装着使用している状態 の衝突実験結果では必ずしもないというのも現状である。

<チャイルドシート取り付け不能な車種>

 スポーツタイプのバゲッジシート、シートに極端な凹凸があるもの、座席の奥行き が45cm以下のもの、これらは全般的に共通のものである。

<値段の違いは>

 値段と安全性とは関係なく、付加価値の差、付属品の有無による場合が多い。
 チャイルドシートは、何よりも取り付ける保護者がいる、ということである。

<参考>

 警察庁より「チャイルドシートコーナー」(PDF) 
 社団法人日本自動車連盟(JAF)より「チャイルドシートを正しく使っていますか