日産婦医会報(平成20年08・09月合併号)

産婦人科診療費調査結果

日本産婦人科医会幹事 清水 康史


はじめに

 医療対策・有床診療所検討委員会では、平成19年9月に平成19年度産婦人科診療費調査を行い、全47支部より回答が得られた。集計は各支部での標準的な料金の記載を依頼した。調査対象施設などを支部に委ねているため、平均値での比較には難があり、最多値を用い平成17年度産婦人科診療費調査結果と比較した。なお、既に産婦人科診療費調査結果(平成20年2月)の冊子が各支部に配布されているが、会員に周知するためにその一部を抜粋しここに再掲する。

集計結果

 産科初診料は5,000円から7,000円に増加した。産科再診料は5,000円、婦人科再診料も3,000円でともに不変であった。

 人工妊娠中絶料は11週までが100,000円、12〜15週が200,000円、16週以上が300,000円であり、11週までが前回の120,000円より減少したが他は不変であった。

 分娩料は公的病院150,000円、私的病院210,000円、診療所200,000円であり、前回調査では200,000円(施設別の調査は行わず)であった。

 帝王切開時の分娩介助料は80,000円であり(前回は調査せず)、新生児管理保育料は10,000円で前回調査と不変であった。

 分娩、入院の総費用は公的病院400,000円(最高値510,000円、最低値250,000円)、私的病院350,000円(最高値550,000円、最低値266,000円)、診療所420,000円(最高値650,000円、最低値230,000円)であり、前回調査の350,000円(最高値600,000円、最低値200,000円、施設別の調査は行わず)から増加傾向にあった。

 IUD 挿入料金は銅付加型50,000円(前回35,000円)、非付加型50,000円(前回40,000円)、ホルモン剤付加型100,000円(前回調査せず)であり、抜去料金は簡単なもの10,000円(不変)、困難なもの20,000円(前回10,000円)で、ともに増加傾向にあった。

 妊婦健診のセット検査は最多値が15,000円と20,000円であり、前回の20,000円と変わらなかった。乳児・新生児の諸検査は、新生児先天代謝異常検査採取料5,000円(前回3,500円)、新生児臍帯動脈血ガス分析料金3,000円(前回5,000円)、乳児健診料3,000円(不変)、血液型3,000円(前回2,000円)、ビリルビン2,000円(不変)、ヘパプラスチン1,760円(前回2,000円)、新生児聴覚検査はAABR(自動聴性脳幹反応)での最多値が5,000円と8,000円(前回5,000円)、OAE(耳音響反射)5,000円(前回3,000円)であった。

 免疫学的妊娠反応は3,000円で、前回の2,500円より増加した。

 低用量ピルの薬剤料は3,000円(不変)、指導料・検査料を含むと5,000円(前回10,000円)、中用量ピルの薬剤料は3,000円(不変)、指導料・検査料を含むと5,000円(不変)であり、緊急避妊時の薬剤料は3,000円(不変)、指導料・検査料を含むと5,000円(前回10,000円)であった。

 超音波断層法は5,500円(不変)、NST は3,000円(不変)、乳房マッサージは用手3,000円(前回1,000円と3,000円)、電動2,000円(前回1,000円)であった。

 HRT は1カ月の薬剤料が5,000円で、前回の3,000円より増加した。人工授精は最多値が3,000円と15,000円(前回10,000円)となり、大きなばらつきがあった。人工授精には、簡単なものから高度なものまでいろいろな種類があるためと思われる。

 体外受精・胚移植は300,000円で、前回の200,000円より増加した。

まとめ

 分娩に関する料金、IUD に関する料金、HRT に関する料金、および体外受精に関する料金は増加傾向にあることが分かった。

本調査は平成19年の実態調査に基づくものであり、標準的な価格を表示するものではない。どの結果も記入した会員の解釈により大きなばらつきがあり、この最多値を日本産婦人科医会として推奨しているものではないので、結果を引用される場合は配慮いただきたい。