日産婦医会報(平成18年09月)

医会での情報伝達方法の検討

日本産婦人科医会医療対策委員会委員 小笠原 敏浩


調査の目的

 現在、医会の情報伝達はさまざまな方法で行われているが、IT の普及により更に選択肢が増えた。今後は、普及性、経済性を考慮した効率の良い方法を選択することが望まれる。そこで、医会員の情報伝達の現状を把握し、効率的な情報伝達の方法を模索した。

調査概要

 調査対象である定点モニター会員(ABC)958施設に、 調査時点での医会の5項目の最新情報の周知と情報収集の方法を質問紙法で送付し、577施設からの回答を回収した(回収率60.2%)。なお、複数回答の項目は回答数に対する%で示した。

情報の周知についての調査結果

 5項目の最新情報について「知っている、または聞いたことがある」と回答したのは、「医会見解: 有床診療所の方向性について」458人(79.4%)、「意見書:産科における看護師等の業務について」510人(88.4%)、「小規模事業所・母性健康管理電話相談事業」299人(51.8%)、「少子化対策並びに産科医療安全確保対策に関する要望書」409人(70.9%)、 「女性ホルモンが肺がんに関与との報道に対する本会の見解について」290人(50.3%)であり、話題性のある有床診療所問題、看護師内診問題の周知率が高い。

情報入手先の調査結果

1. 医会報 1,436 人

36.8 %

2. 医会ホームページ 418 人 10.7 %
3. 支部からの連絡 352 人 9 %
4. 研修会 286 人 7 %
5. 新聞 274 人 7 %
6. 雑誌 115 人 2.9 %
7. 知人から 100 人 2.6 %
8. ファックス 78 人 2 %
9. メール 58 人 1.5 %
10. テレビ 34 人 0.9 %

 の順で、医会報が重要な入手先であることが判明した。

今後の医会からの情報提供の方法

1. 医会報 441 人 33.9 %
2. 医会ホームページ 218 人 16.8 %
3. 支部からのメール連絡 193 人 14.8 %
4. 支部研修会 166 人 12.8 %
5. 支部からのファックス連絡 161 人 12.4 %
6. 医会メーリングリスト 111 人 8.5 %
7. 支部からの電話連絡 7 人 0.5 %
8. その他 3 人 0.2 %

 の順であり、医会報とホームページを軸に情報提供を推進する必要 性があると思われる。

医会への要望

 電子メールに関しては、支部のメールを充実して欲しい、支部または本部から定期的にメール連絡が欲しい、 メールマガジン、メーリングリストに執行部からのコメントが欲しい等で、ホームページに関しては掲示板、インターネット放送の要望などが挙げられている。その一方で、医会報に重要事項を掲載するページを設けて欲しい、多忙のため緊急連絡はファックスにして欲しいなどの要望もあった。

今後の展望

 IT 化への移行時期である現在は、電話・ファックス・印刷物、電子メール・インタ−ネット等の情報手段を使い分けているのが実情である。簡便性・即効性・経済性・普及性を考慮した上で利用することが望ましい。今後の課題は、医会報およびホームページの充実を図り、特に医会報とホームページに会員必読のページを作ることが必要であろう。また、メーリングリストを含めた電子メールの活用方法を検討し、支部のメール連絡を普及し定着すべきであろう。当面は、ファックスと電子メールを併用し、将来的にはファックスから電子メールへの電子化により経済性、即効性を高めたい。