NIH NEWS RELEASE
NHLBI Stops Trial of Estrogen Plus Progestin Due to Increased Breast Cancer Risk, Lack of Overall Benefit
NATIONAL INSTITUTES OF HEALTH  National Heart, Lung and Blood Institute
EMBAGOED FOR RELEASE
Tuesday, July9, 2002
9:30 a.m. Eastern Time

 上述の発表が最も早く、同時に7月17日発表予定であった下記の論文をインターネットで事前発表した。

(参考文献)

健康な閉経後女性へのエストロゲン/プロゲスチン投与の危険性と有用性

Women's Health Initiative(WHI) ,Rossouw JE et al. (JAMA.2002;288:321〜333)

目的;健康な閉経後女性へのホルモン剤投与の危険性と有用性を検討する。

デザイン;50〜79歳の16608人の子宮を有した閉経後女性を対象とした。1993〜1998年の間に40の米国の施設でプレマリン0.625mgと酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mgを投与した8506人とプラセボを投与した8102人によるdouble blinded randomized controlled studyを行い、比較検討した(治験期間8.5年の予定)。

検討事項;主な検討事項は冠動脈疾患(非致死性及び致死性のもの)と浸潤性乳癌である。それ以外にも脳卒中、肺塞栓、子宮内膜癌、大腸癌、大腿骨骨折、ならびにその他の原因による死亡なども検討し、総合的な危険性と有用性を調べた。

結果;2002年5月31日の時点で平均5.2年間観察したところ、エストロゲン/プロゲスチン投与による浸潤性乳癌の増加と総合的な危険性の高さのため、観察の中止が勧告された。その報告によると、ホルモン剤投与による変化は冠動脈疾患が1.29倍(95%信頼限界、以下同様、1.02〜1.63)、乳癌が1.26倍(1.00〜1.59)、脳卒中が1.41倍(1.07〜1.85)、肺塞栓が2.13倍(1.39〜3.25)、大腸癌が0.63倍(0.43〜0.92)、子宮内膜癌が0.83倍(0.47〜1.47)、大腿骨骨折が0.66倍(0.45〜0.98)、その他の原因の死亡が0.92倍(0.74〜1.14)であった。危険性はすべての心血管病変(動脈性および静脈性)では1.22倍、癌では1.03倍、骨折では0.76倍、あらゆる原因による死亡では0.98倍であり、リスクとベネフィットをトータルした危険性は1.15倍となった。なお、冠動脈疾患、肺塞栓は投与後すぐに危険性が増加し、脳卒中は投与1〜2年後から、浸潤性乳癌は投与4年後から、増加した。大腸癌は投与3年後より減少し、大腿骨骨折は投与後すぐに減少した。エストロゲン/プロゲスチン同時投与により、1万人の女性1年あたり冠動脈疾患が30人から37人へ7名増加し、脳卒中が21人から29人へ8名増加し、肺塞栓が8人から16人へ8名増加し、浸潤性乳癌が30人から38人へ8名増加した。一方、大腸癌が16人から10人へ6名減少し、大腿骨骨折が15人から10人へ5名減少した。リスクとベネフィットをトータルして総合的にみると、1万人の女性1年あたり19名、危険性が有用性を上回った。

結論;米国の健康な閉経後女性を平均5.2年観察したところ、エストロゲンとプロゲスチン同時投与は有用性より危険性の方が高かった。しかし、すべての原因による死亡数には影響しなかった。これらの結果から、冠動脈疾患等の慢性疾患の一次予防にはホルモン剤投与は有効でなく、したがって冠動脈疾患の予防の目的でエストロゲン/プロゲスチンを新しく投与開始すべきではなく、また継続すべきでもない。

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