平成17年10月31日放送
  日本産婦人科医会学術集会を終えて(滋賀)
  第32回日本産婦人科医会学術集会近畿ブロック大会 会長 青地 秀樹



 平成17年10月8、9両日にわたり、第32回日本産婦人科医会学術集会近畿ブロック大会は、近畿ブロック6府県2,400余名の会員の結集により、第1日目は雨模様でしたが2日目は快晴となり、マザーレイクびわ湖が全国各地よりのご参加の皆様方を歓迎してくれました。本学術集会を開催するに当たり、日本産婦人科医会会長坂元正一先生をはじめ本部役員の先生の温かいご支援・ご指導を賜ったことに深く感謝申し上げるとともに厚く御礼申し上げます。

 昭和49年に第1回の旧日母大会が東京都で開催されてから、第2回大阪市、第12回神戸市、第22回京都市に次いで近畿ブロックでは4回目の第32回を開催いたしました。かねてから医会学術集会のあり方検討会で論議された中、今回は全国を6ブロックに組み替えてのスタートといえる学術集会で、新しい方式のもと、滋賀県大津市で開催いたしました。少しでもその意向に沿うよう、温故知新、充実した内容を企画・実行いたしました。

 開会式には、日本産婦人科医会会長・坂元正一先生にご挨拶を、日本産科婦人科学会理事長・武谷雄二先生にご祝辞をいただき、大会副会長・榎本恒雄先生より、『今回の大会は新しく再編された新ブロック制の下、ブロック単位で担当する最初の記念すべき大会になり、近畿ブロック会員の総力で参画し開催にいたり、ご参加の先生方には充分満足していただけるものと確信する』と、力強い開会宣言をされました。

 スローガンは「マザーレイクびわ湖畔に集う〜魅力ある産婦人科医療への挑戦」と掲げ、10月8日の生涯研修では250名余、9日のシンポジウム及び文化講演には当日近畿産科婦人科学会参加者をも含め500名余の出席をいただきました。

 本学術集会の学術面については、滋賀医科大学産科婦人科教授の野田洋一先生の全面的な協力で、スローガンに沿ったテーマでのプログラムとなり、第1日目の生涯研修プログラムでは各々の専門領域・各立場から特に最新の臨床を視点においてこれからの産婦人科医療への挑戦に産婦人科医療を巡る諸問題に新たなる展望が見いだされてきたのではないでしょうか。また、特別講演「医療の改革期を迎えて」を植松治雄日本医師会会長にお願いし、医療制度改革の動向と自己の対面、医師数の問題、特に産婦人科の抱える問題点、そして医療の提供体制と、短い時間でしたが貴重なお話をいただきました。2日目はシンポジウム「より安全な分娩を目指して〜これからの分娩のあるべき姿」をとりあげました。今、社会の周産期医療に対する期待と要求は極めて高い中、周産期医療の本質的進歩は遅々としている。一方、増大する社会の要求する母児の安全に対する要求水準との格差が大きな問題となっており、昨今の医療訴訟の増加に若い産婦人科専門医希望医師が減少している等の諸問題を踏まえてのシンポジウムとなりました。野田・神崎両教授をコーディネーターとして、異なった立場の臨床医6名から、分娩の取り扱いの現状分析と問題点、ついで今後の周産期のあり方について、また産科オープンシステムと妊婦のリスク評価の2つの観点から提言をいただきました。さらに、患者側弁護士の先生から医療訴訟の提起されるメカニズムについて解説をしていただき、会場の先生方からの発言を交え、熱き討論となりました。これから向かうべき周産期医療の形が、このびわ湖畔より浮かび上がってきたことと思います。

 そして文化講演の「私の取材ノートから」は、NHKアナウンサー松平定知様から、一つの番組の製作には並々ならぬ準備と作戦があり、随分とご苦労があること、わが国の少子化の問題を踏まえ、歴史上その時代時代に子供を巡る、それこそ「そのとき歴史は動いた」を名調子にユーモアを交え時間の過ぎるのを忘れさすごとく軽快にご講演いただき、満場の会場が大満足でした。

 一方、前日夜のびわ湖ホテルでの懇親会は、360名の出席者があり、坂元正一先生のご挨拶、日本医師会会長植松治雄先生、日本産科婦人科学会第58回学術集会会長田中憲一先生のご祝辞、滋賀県医師会会長長山敷祐先生の乾杯と誠に光栄でございました。そして、大津まつりでにぎわう中、大津絵実演を指導いただいた大津市無形文化財の高橋松山先生、大津絵踊りの皆様、和やかに名コンビでの大会副会長三浦徹先生と村田加陽子さんの司会により大いに盛り上がりました。また懇親会での閉会の辞に当たり、大会副会長岩永啓先生の『この大会は今までと変わったでしょうか』の問に『大いに変わった』との返答が得られたことは大変嬉しいことでありました。

 大会閉会式では、次期開催担当の北海道・東北ブロックに大会旗を引き継ぎ、次期会長の幡研一先生より、『来年は福島で再会を』とご挨拶いただき、大会副会長平野貞治先生より『近畿ブロックでの開催をとのご指命を受け約2年間、たびたび討論を重ね、本部役員の先生のご指導を賜り準備を進めてきました。全国各地より多数の会員のご参加をいただき、貴重で充実した生涯研修、安全なお産を目指してのシンポジウムで熱心なご討議を賜り、実り多い学術集会になったことを深く感謝します。スローガンである魅力ある産婦人科医療への挑戦点を見いだしていただけたのではないかと自負しているとともに、関係各位のご協力に感謝し、第32回日本産婦人科医会学術集会近畿ブロック大会を閉会とし、来年は福島で元気にお目にかかりましょう』と、なごりおしく宣言いただきました。そして、第113回近畿産科婦人科学会との合同での有意義な3題のランチョンセミナーも盛会で会場には入れなかった先生方には申し訳なく思っております。

 西野英雄実行委員長は、本学術集会はかねてよりそのあり方検討委員会で取り上げられていた課題の一つ、開催地の件で今回よりブロック単位での担当制が導入され、その第1回目が近畿ブロックでその任にあたり、近畿支部長・役員が力を出し合い、企画運営に努力し、幸い無事に終了しました。が、やはり地元の会員の細やかな心遣いを見逃すわけにはいかないこと、第二の課題はいかに若い人たちの参加を促すかであり、今回は近畿産科婦人科学会学術集会(植木實会長)の協力の下、同一会場で開催できました。特に「より安全なお産を目指して」のシンポジウムがあり、近畿産科婦人科学会の若い先生方の心に本学術集会のすばらしさを印象づけたと思います。将来彼らの参加が楽しみです。第三の課題は懇親会のあり方で、従来と異なり主賓以外は各テーブルに地元ブロックの役員がホスト役として付き、ご参加の先生方は抽選で座っていただく方法をとりました。より懇親を深めるようにいたしました。また、懇親会で司会を担当された三浦徹大会副会長は、会での経費削減と抽選での着席により新しい出会い、そして挨拶・祝辞の短縮などをコンセプトに簡潔で正直でユーモアに富んだスピーチで予定時間通り会が進行したこと。アトラクションも坂元会長、各ブロック代表の方々に鬼の絵を大津絵絵師松山先生のご指導よろしく、各々個性的にすばらしいできあがりで、おもしろい企画であったこと。そして、鮒ずし、永源寺こんにゃく、ビワマスなどの湖国料理に近江の地酒と大いに楽しんでいただいた様であり、総じて好評であったこと。おぎゃー献金キャンペーンでは、大橋伸正先生の「おぎゃー献金は気合いだ!!」の三唱で一気に産婦人科医会の団結が図られた感を抱きました。そして司会をし、大過なく終了したことで達成感でいっぱいで当日の大津まつりの美しさを思い出しているとの手記をお寄せいただきました。

 懇親ゴルフ大会は大会前日近江カントリークラブで大会副会長廣崎彰良先生のお世話で35名の参加により和気藹々にプレイていただき、大分県の友成先生が優勝されました。

 学術集会終了後、多くの先生から早速お礼とお褒めのお手紙をいただき、我々担当者は大変ありがたく、安堵いたしております。

 来年の福島での再会を楽しみにしております。ありがとうございました。