平成16年11月1日放送
 第108回日本産科婦人科学会関東連合地方部会より
 第108回日産婦関東連合地方部会会長 関谷 宗英


 会員の先生方ますますご清祥のこととお察し申し上げます。

 さて、第108回日本産科婦人科学会関東連合地方部会総会ならびに学術集会を千葉地方部会が担当することが、昨年の6月第105回総会で正式に決まりましたので、会員一同鋭意準備を進めて参りました。
 ご承知のように、関東連合地方部会は1都9県からなる連合地方部会で、会員数は現在6000名を超え、全国の地方部会中断然トップであります。総会ならびに学術集会は例年6月と10月の春秋2回開催され、春は東京地方部会、秋は神奈川、千葉、埼玉、静岡、群馬、栃木、茨城、長野、山梨の各県地方部会が持ち回りで担当しております。
 本学会は日本産科婦人科学会と各県地方部会のちょうど中間に位置づけられ、日常臨床の最前線で日夜患者と接している大学の付属病院や関連病院の若い先生方が主体で、稀な症例や各施設における臨床統計の発表が本学術集会の特徴であり魅力であります。

 第108回総会ならびに学術集会は10月10日の日曜日。幕張メッセ国際会議場で開催されました。ご承知かと思いますが、当日は開業されておられる先生方が主体の第31回日本産婦人科医会学術集会千葉大会が北原敬市会長により同時開催されました。学会と医会の同時開催は初めての試みであります。
 危惧しておりました最大級の台風22号は前日東海地方に上陸、千葉県の上空を通過し三陸沖に抜けましたが、当日は交通機関の混乱もなく一同ホッといたしました。平成7年第90回を千葉が担当した時も戦後最大級の台風の直撃を受けましたが、会員の先生方の並々ならぬご支援で無事終了できたことを思い起こします。

 当日は学会参加者が医会シンポジウムに、また、医会参加者が学会の一般発表にフリーに参加できるよう配慮いたしました。医療行為に学術と社会の両面からアプローチしようという学会と医会双方が見解の一致を見た結果であります。従いまして、第108回関東連合地方部会は一般発表に加えて医会との共催でランチョンセミナー6題と超ベストセラー「バカの壁」の著者、養老猛司氏による公開講座のみ、といったシンプルな内容にいたしました。
 学会の経費削減が一つの理由として考えられますが、最近の発表はポスターによる示説がほとんどで、参加者から多々不満を耳にいたします。本学会は若い先生方が学会発表のスタートを切る絶好の機会ですので、今回は一般演題すべてスライドによる口頭発表にいたしました。パーソナルコンピュータによる発表が定着して参りましたが、今回はトラブルの発生を危惧してすべてスライドにいたしました。応募いただいた演題はすべてアクセプトいたしましたところ、50題でやや少ない印象を受けました。ご承知のように、今年の4月から卒後研修が必修化され、大学付属病院の医局に入局する研修医が皆無になったのが一因と考えられ、今後しばらくは続くと予想されます。

 会場は7会場で午前9時に開始、午後4時10分に閉会いたしました。懇親の場を設けるのも学会の企画として大事でありますが、前日医会の総懇親会がありましたし、今回は足下の明るいうちにお帰りいただくよう配慮いたしました。

 医学部へ入学する約4割が女性でありますし、全国的に産婦人科の女性入局者が激増しております。千葉大産婦人科を例に挙げますと、5年前までは男性4に対し女性1の割合でしたが、最近5年間は比率が逆転いたしまして女性4に対し男性1の割合であります。対応の一環としてどの学会でも託児室が普及して参りましたが、今回500名を超える参加者で4名の希望がございました。

 演題は分類コードに従ってインターネットを利用したオンラインによる申し込みとなっております。症例や統計はその時代を反映しておりますが、腫瘍は最近増加の傾向著しい卵巣腫瘍の診断と治療に演題が集中いたしました。ご承知のごとく、どの施設でも帝王切開率が上昇しております。妊娠や帝王切開は深部静脈血栓症のリスク因子でありますし、肺血栓塞栓症は帝王切開後の癒着胎盤とともに時に致命的となりますので、演題も多く注目を集めました。また画像診断の進歩とともに出生前診断の成果は眼を見張るものはございました。ランチョンセミナーは学会側から4題、医会側から2題で、それぞれの特徴を生かした講演と演者となりました。

 公開講座の演者と演題は学会と医会双方で大分意見の交換を行いましたが、著名な方で肩のこらない内容ということで意見の一致をみました。そこで何人かの候補者の中から超ベストセラー「バカの壁」の著者・東大名誉教授養老猛司氏の「脳からみた生殖の話」に決まりました。超多忙の先生から快諾が得られ、「医療が患者の情報にばかり終始していて、肝心の生身の患者を忘れている」など先生独自のユーモアあふれる魅力的なお話に、満員のフロアから拍手がしばらくの間鳴り止みませんでした。

 最後になりましたが、恒例の理事会が前日9日の午後5時から、また総会は当日午前11時5分から開催されました。今回は編集委員会から会報の症例報告特集と投稿論文査読について提案があり、また庶務から常任幹事の交代と選挙スケジュールについて協議されました。また、フロアから学会代議員選出のあり方についてご意見があり、前向きに検討することが了承されました。

 ご承知の通り日本産科婦人科学会雑誌はすっかり様変わりしました。すでに原著や症例は掲載されておりません。邦文の原著や症例は各地方部会雑誌に掲載せざるを得ませんので、今後ますます関東連合地方部会会報の意義は大きいと考えられます。従来からクリニカルカンファレンスなど実地臨床に役立つ内容に加えてさらに症例報告特集は大変結構な企画と考えられます。

 次期第109回会長は東京地方部会木下勝之教授で、平成17年6月12日京王プラザホテルで開催される予定であります。第110回は長野地方部会小西郁夫教授により10月15、16日松本文化会館、また、第111回の会長に東京地方部会の久保春海教授が今回の総会で決定いたしました。
 今回初めての学会医会同時開催であり、会員諸先生の忌憚のないご意見を賜れば幸いであります。